Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

Kの法則の証明に挑む

Kの法則(http://www.h3.dion.ne.jp/~duke/politics/hosoku1.html)とは、随分前からネットで言われている法則のことを示す。具体的には、日本企業で韓国と提携などを行った企業の多くがその後に業績を落としたり韓国企業に裏切られたりすると言う経験則のことである。

古くは、ホンダがバイク生産で提携してきた企業が突然提携解消して、ホンダから学んだノウハウを基に自社開発と銘打って自社生産。当時の本田宗一郎氏が「韓国には関わるな」と言い残したと言われるのは非常に有名である。
新日鉄が技術や資本などを出して設立したポスコ浦項綜合製鐵株式會社)は、新日鉄の最大のライバルになりそして違法な技術流出を理由として現在係争中となっている。
SONYは液晶関係などでサムスンと提携したが、結果的に撤退。赤字と技術流出で終わったと言われている(http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD30055_Q2A330C1TJ1000/?dg=1)。同じ様なことはサムスン東芝の間でも生じていると言われる。
最近では、スマホ関係でドコモがサムソンを主力にても日本国内で一人負け状態が続き、アップルとの訴訟の影響により更なる戦略変更が必要となっている。ファミリーマートの韓国内フランチャイズ企業が看板掛け替えを始めている(http://diamond.jp/articles/-/21043)のもノウハウを得たからもはや提携は不必要といった流れであろうと容易に推測できる。その他にもネットをあさればこのあたりの事例にはいくらでも接することができる。

もっとも、では全ての日本企業が韓国企業と提携して失敗しているかと言えばそんなこともない。マッコリを輸入する日本の酒造メーカーが失敗しているわけではないし、一気に醒めつつあるとは言え韓流で日本のテレビ局や芸能ブローカーは稼いだであろう。ただ、多く成功企業は韓国企業と資本的技術的に深く提携するのではなく、単独で韓国に進出して(営業的な提携はあっても)あるいは韓国製品を輸入しての企業が多いような感じである。つまり依存することなく利用のみに徹しているということである。
そもそも日本企業が韓国企業と提携するのはなぜなのか。一つには、古くは戦後の補償的な意味合いや同じ民主義国家の成功をバックアップするという意味合いがあっただろう。上記のホンダや新日鉄の件はまさにそれに当たる。
最近の特徴は経費削減である。中小企業は節税や韓国を通じて(欧米への)迂回輸出を図ったりしているし、大手企業も安い製品を韓国企業から手に入れようというものが多い。日本国内では円高のせいもあって生産が利益に結びつかないという苦肉の策である。もちろん経費削減のみを言えば中国や東南アジアの方が人件費がずっと安いのだが、一定以上の品質を手に入れるためには韓国の生産力は無視できない。日本企業の高品質要求にそれなりに応えられるのは、大幅な資本投入なしに行うとすれば韓国くらいということになるのだろう(人員も配置して教育を含めて行えば他国でも可能だろうが、それは結局コスト高に跳ね返るのと軌道に乗るまでの時間がネックとなる)。

ただ、日本企業の失敗を見ると結果的に技術流出が全てである。韓国側とすれば提携のメリットは技術を手に入れられることであり、それをもって独立することは目に見えている。日本企業側がその点に無頓着でありすぎたと言えなくもない。いつまでも日本の下請けに甘んじていたとは思わないのはある意味当然である。ただし、それがアンフェアな方法で為されているケースが少なくないからこそトラブルが絶えないし、だからこそ法則などと言う不名誉な呼称がついているとも言える。
コストダウンを目指して韓国企業と提携し、信義則に基づき共存を目指そうとしているケースに多い。結果的には日本側が考える信義則が成り立たずに、信義を裏切っても最大限の利益を取るべく韓国側企業が動いていると言うことである。それは短期的な利益を目指す韓国特有の考え方があるのかも知れない。日本企業は長く儲けようと方法を考えるが、韓国企業は想定のスパンがおそらく日本よりもかなり短い。だからこそ、信義を裏切ることも彼らの目的には合致しうる。
逆に言えば、韓国との提携で成功するには相手方の言うことを信用せずにドライに利用するということになるのだろう。

ドコモのように、アップルとの訴訟が回り回って企業戦略に影響を与えている例は日本との間の信義関係ではないが、世界における信義関係も日本の場合と同様に裏切っているという結果かも知れない。理由は戦略を短気で見ているか長期で見ているかに依存しており、業績の悪化等の苦しさから同じ思考形式に落ち込んだ日本企業が引き当てている法則と考えるのが妥当なのだろう。