Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

敵は国内にあり

かつて、トロン(http://ja.wikipedia.org/wiki/TRON%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88)というOS(オペレーションシステム)を開発した東大の坂村健教授(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9D%82%E6%9D%91%E5%81%A5)は、かつてPC用のOSとしてMS-DOSとの競争において敗れることとなったが、その原因を作ったのは同じ日本人だったとされている。そもそもアメリカがスーパー301条などで日本発のOSに脅しをかけたのは、アメリカのスタンダードに合わせようとした日本人や日本企業によるものであったというのだ。
実際に、TRONBTRON)が世界標準と本当になり得たかどうかには疑問(http://www003.upp.so-net.ne.jp/ikeda/Sakamura.html)も呈されているが、ここではそれを取り上げるつもりはない。ただ、日本人の敵は本当の意味において国内に有るというケースが少なくないことを取り上げたい。

例えば、従軍慰安婦問題を国連に持ち込み性奴隷(SEX SLAVE)と公式文書に記載させる運動を推し進めたのは日本の戸塚悦朗弁護士である(http://www.news-postseven.com/archives/20120825_137311.html)。韓国が現状アメリカで慰安婦像を建てたりしているが、日本の弁護士が性奴隷であると世界に訴えていることを考えれば、その真偽はともかくとして韓国が動きに乗じて非難を強めても全くおかしな話ではない。
もちろん「従軍慰安婦」という名称を作り出し間違った報道を広めたのは朝日新聞やそれを取り巻く学者達であり、そこに明確な根拠がない事がわかると吉見義明中央大教授などは「強制募集」や「広義の強制」などという新しい概念を次々に持ちだして、女性が売春業につかざるを得ないを問題とし続けた。論点を軍の強制から主体が誰かわからない強制にすり替え、ましてや「強制」「募集」などという意味のわからない言葉を作り出す始末である。「強制」なら「募集」をする必要はないし、「募集」しているとすれば「強制」ではない。
もちろん準強制的な募集があったとなど言うだろうが、その強制を軍が行っていなければ本来的には日本軍に問題はない。こうした職業に従事せざるを得なかった当時の状況は残念で心痛むものではあるが、事実をねじ曲げて主張する事は一旦主張してしまった故の自己保身を続けているに過ぎない。
傍証でしかないが、韓国軍がベトナム戦争に参加したとき言質で多数の暴虐を働き、ベトナム人女性と韓国軍兵士との間に数多くの子供が生まれた事は既に多くの人が知る歴史の事実である。さて、強制的に慰安婦にされた奴隷的な存在の韓国人女性と日本軍兵士との間にそんな問題が生じているのか?韓国が主張するように20万人もの従軍慰安婦がいたならば相当数の混血の子供の問題が生じていておかしくないのだが、そんな話など聞いた事もない。
ヒロイズム的な行動が悪いとは思わないが、自己陶酔により結果として日本という国を大きく辱めているとすれば、それはヒロイズムに名を借りた個人の自己満足に過ぎない。ただ、言論の自由は保障されるべきであり日本国内ではどのような発言も自由である事は守られるべき事だろう。

似たような事は経済問題でも言える。今政府が抱えている莫大な債務をどのように減らすかについて考えれば、基本的に方針などは1つしか存在し得ない。政府は日銀を通じて(あるいは直接)通貨を発行する事が出来る。すなわち、インフレの発生を許容するならば政府の債務がいくらあろうがそれが自国通貨建てである以上は返却可能である。ギリシャやスペインが問題なのは、ユーロから離脱しない限り自国通貨の発行が出来ないのがもっとも大きな理由である(すでにユーロで借りてしまっている分があるので、離脱してもデフォルトが必要)。
あとはインフレを許容するかどうか、もしくはインフレをコントロールできるかどうかの問題でしかない。考えてもみれば消費税を上げて今の毎年の財政を均衡させようとすれば、1%で2兆円と仮定しても40兆円をひねり出そうとすれば20%の消費増税が必要になる。もちろん、20%もそれが上がって同じように1%2兆円の税収が上がるはずもなく、それは全くの机上の空論にすぎない。加えてそれは毎年の収支を安定化させるだけでこれまでの債務を返却するものではない。
では一方で支出を切り詰められるのか?多少はできるであろうが、10兆円も減らせるか?非常に難しいだろうし、それは現状のスペインやギリシャのような景気低迷を招くのは必至であって、それが消費税以外の所得税法人税の税収低下にもつながる。
要するに、増税や緊縮財政による政府財政の立て直しは既に難しい状況にあると言う認識が必要である。かつて大英帝国などでも同じような状況に陥った事がある。結局のところじりじりとしたインフレにより通貨の価値を下げる事で乗り切ってきた。行き着く先はそこにしかない。

ところが世界最強のインフレファイター(日銀)を抱える日本は、その事実を決して認めようとしない。財政緊縮論者に聞きたいのは、財政緊縮によりどんな未来が見えるかが全くわからない事である。どちらにしても政府債務削減は痛みを伴わなければ解消できないのは間違いない。だとすれば未来のある解消を目指すべきなのだろうが、そこにおいても最も強靱な反対論者は国内にある。

いずれにしても、敵は国内にあり。それを理解して、無用な感情論を振りかざす事がないように努めたい。