Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

経済制裁の後

韓国の一方的で非礼な振る舞いにより、日本国内は韓国に一定のペナルティを加えることを望む声が非常に強い。私自身、韓国のエスカレートを続けるこの状況を押し止めるためには、これまでのようなお茶を濁す態度ではなく明確な意思の表明が必要だと思う。日本の象徴である天皇陛下を辱めるような李明博大統領の言葉は許し難いし、それ相応の対抗措置を執っても良いと思う。
ただ、その上で通貨スワップの凍結まではいかなくとも再検討程度は表明するだけでも、市場が動くことで韓国にはいお灸になると考えそれらしきことを書いた(http://d.hatena.ne.jp/job_joy/20120811/1344611727)。それは、勢いがついて止まらなくなりつつある韓国世論の集団心理に冷や水を浴びせることを意図したものであって、韓国に本格的な経済制裁をしたりということを狙ってものではない。
もちろん、今後韓国が更なる反日的行動を取って日本に大きな悪影響を与えるようになるようならば相応の制裁を考えればいいと思うが、現時点で制裁をエスカレートさせることは必ずしも日本にとって良いこととは限らないと思うのだ。

確かに、日韓通貨スワップは大部分が韓国経済の安定のための援助であり、強硬な口ぶりとは裏腹に韓国経済がそれほど強くないのは多くの人が既に知っている。ただ、外貨の流出は即国内景気の大幅な収縮に繋がりかねない韓国としては、対外的にも自国の好調さをアピールし続けなければならないという悲しい業に縛られている。日本人からすれば、そんな背伸びをするよりも着実に結果を積み重ねていけばいいと考えるだろうが、このあたりは民族性の違いなのかここで立ち止まることが我慢ならないようである。
実際、現時点でスワップを凍結あるいは破棄したとしてもすぐに悪影響が出るわけではない。韓国が主張する外貨準備高は多くが実際には使えないものだと日本も欧米の金融機関も知っているが、それでもアメリカや中国とのスワップはまだあるのだから、外貨に即窮するというわけではないだろう。
そもそも、韓国はリーマンショックの時にも公式には十分な外貨を保有していたはずである。それにも関わらず、アメリカや中国との通貨スワップを利用している(日本とのものは利用していない)。何てことはない、自前の保有外貨が使えなかったからに他ならない。その理由としては、米国債などの換金性の高いものとするのではなく、仕組み債などのより高利回りの換金性の低い投資に回していたという噂が絶えない。なお、こうした債券はリーマンショック後に暴落している(あるいは紙くずになっている)ため、大幅な含み損を抱えているのではないかという分析もある。
どちらにしても、通貨スワップの凍結はそれを検討するだけでもボディーブローのように効いてくるであろう。その意味を韓国政府は冷静になって考えなければならないと思う。そのための時間はやはり必要ではないだろうか。

今も既に韓国メディアより冷静になるようにとの意見が出始めている。もちろん、その内容は日本の方が悪いという立場に立っており看過できるものでは無いが、韓国側の譲歩が今後出てくる余地は残しておいた方が良い。単純な制裁のチキンゲームに突入するメリットは、韓国のみならず日本にもないのだから。
まず日本がすべきことは、現時点における正確な情報を世界に発信することであろう。それは、竹島問題もそうだし従軍慰安婦問題も同じである。幸いにも、韓国の方から勝手に騒いで世界の注目を惹き付けてくれている。この機にこそ、日本側としてできる限り正確な情報を世界に向かって発信することが重要である。韓国は中国のマネをして、正確な情報発信よりはロビー活動を中心とした世論操作を行っている。これの応酬合戦は日本の立場が韓国の根拠のないものと同じように扱われかねないのだから、日本はこの注目に乗じて論理性の高い日本側の状況分析(韓国側の間違いも含めて)を世界中に伝えればよい。
それは、外務省がパンフレットを作って世界にアピールする形でも良いし、あるいはyoutubeに日本の意見を明確にアピールをしても良い。どちらにしても日韓両国の問題ではなく世界を巻き込んだ問題とすることで、国際的な領土紛争の処理の形を一つ新たに作り出せばよいのである。

さて、韓国に経済制裁しても日本経済は対したダメージを被らないという意見がよく見られるが、私はそうとは思わない。既に脆弱になりつつある日本経済は、やはり韓国経済の低迷により一定のダメージを受けると思う。そのダメージと、韓国の行動に対する制裁を冷静に天秤にかけるのが今最も必要なことであり、それは過度に感情的になって制裁を叫ぶのも良くないし、同時に経済ばかりをおもんばかり弱腰なままでいるのも宜しくない。
要するにどのような態度を取れば日本が最も得をするのかを十分考えて、そして、韓国にもそれが如何に韓国にとって損なのかを理解するための猶予を与えるというのが重要ではないかと思う。もちろん、これまでの非礼に対する相応の報いは受けてもらわなければなるまいが、単純に経済制裁エスカレートさせるというのは、日本と韓国が共に傷つくと言うことでその他の国を利する行為になると言うことは理解しておきたい。