Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

歴史的事実ではなく意志

尖閣問題、慰安婦問題、南京問題、その他、東アジアを巡る諍いについては枚挙にいとまがない。歴史的な事実関係を追い求めればそれなりの成果は出るだろうが、もはやリアルタイムを知る人がほとんど残っていない中でいまいちインパクトが弱い面もある。
こうした問題で守勢に立たされる日本は、真面目に事実関係の確認に手間を費やそうとしているが、中国や韓国の主張は事実認定にあるのではなく、それを超えての日本を押さえつけるあるいは日本から何かを奪う意志の発現でもある。その意志は歴史教育を通じて感情論で醸成されており、正直言えば事実認定などどうでも良い。すなわち、日本が努力していることは彼らからすれば議論の余地すらないことなのである。
仮にそうだとすれば、日本は単純に事実の積み重ねを続けても議論が噛み合うことなどあり得ない。もちろん第三国に裁定を仰ぐ場合にはこうした事実認定が何より重要ではあるだろう。だから、事実の積み重ね自体に意味がないわけではないが、それは本質的な部分ではなくあくまで補完的なものでしかない。最も重要なのは、自らが正しいとする毅然とした態度であり意志である。

現在の日本は、その意志を示すこと自体が周辺国の反発を招くと考え、摩擦を恐れて意志を示すことがない。国と国がお互いに奪い合いをするような関係に無ければ、無用な摩擦を控える方法は得策となる。例えば、戦後日本とアメリカの関係はかなり相互扶助的であった。もちろん、それは完全無欠なものでは無く問題も多かったであろう。ただ、日本の発展はアメリカの利益であり、アメリカの安定は日本の基盤であることを双方が理解した上で成立していたのだと思う。
現状における、日本と韓国や中国の関係をそれと同じと見るのは正直言って難しい。それは、お互いの関係が相互補完的出るよりはむしろライバル関係であることがあり、更に言えば日本が現在の工業製品生産拠点の座を完全に中国や韓国に渡すつもりが無いこともある。単純に言えば、ずっと競合関係にあるのである。
建前上ではWin-Winなどと発するが、実際には完全なそれはあり得ず日本は製品の風上を抑えることで中国や韓国をコントロールしようとしているし、逆に彼らはコントロールされないように知恵を絞る。主導権を握りたければ相手の弱いところを徹底的に突くことになる。それが今問題とされる歴史問題なのだ。だから、その中身が事実に即しているかどうかは実質的には問題ではない。日本が答えに窮する内容であればそれでよい。現実にはそこに加えて国内をまとめるためにこれまで行ってきた反日教育の結果が加えられており、状況はエスカレートする。

変な話ではあるが、これまでの日本は問題がエスカレートすればするほど相手方の顔色を見て火消しに必死となってきた。ただ、近頃の中国や韓国のそれは露骨でかつ強引な、正直言えば無茶ぶりとすら取れるものが少なくなく、さすがの日本もこれまでの態度を続けるのが難しくなりつつある。
要するに恫喝なので、日本が反抗するそぶりを見せればかさにかかってヒステリックな態度を見せるのは、実質的に不良のゴロマキと変わるところはない。それを不良にも一分の理があると特定のマスコミや団体が賛同するのは思想信条の自由であるが、だからといって通常考えたときにそれがもっとも良い対処でないのはすぐにわかる。
私達は、日本の領土でも日本の名誉でも守るべきものはどんな事をしても守るのだという意志や態度を明らかにする事だ。押せば下がると思っている限り日本は様々な手で攻略されるのは当然だろう。押しても下がらないのだという事を今以上に明確にしなければならない。その方法は、武力をちらつかせる必要など無い。にこやかに笑いながら出来ない事は明確に拒否し、不当な情報操作にはこれも明確に抵抗する。それでも、日本が下がらないという事を相手が認識すればいいのだ。
お互いに話し合って、、、と言う人はいるが、最初から日本に不利な話を同じレベルで語る必要もないし、話し合うなら当然日本にとって有利な状況を作って臨むべきである。

今の日本に必要なのは意志を示す事であり、そしてそれは覚悟により下支えされる。今の日本には覚悟が少々足りない。ただし、それは煽るように戦争を鼓舞する事ではない。