Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

水戦争

石油の枯渇が議論されていたのは遠い昔、、、ではなく、常にその危機感が煽られ続けたのは、石油メジャーによる価格維持戦略だという話はそれなりの妥当性が感じられるものである。もちろん徐々に掘削が困難になったり品質が低下して行くであろうためコストアップには繋がるのだろうが、埋蔵量そのもので言えばまだまだ石油系資源は少なくない。

ところが石油以上に先に枯渇するかも知れないと言われる重要な資源がある。それは「水」だ。
現実には地球表面の70%は海であって水がないわけではない。だから淡水がどれくらい存在するかと言われれば、わずか3%とそれは非常に心許ない量でしかない(ジャパン・ウォーター・ガード:http://npo-jwg.com/studypl.html)。その淡水も多くは氷河や地下水などで人が容易に手にすることができないため、現実に人間(動物たちその他の生物も含めて)が利用可能な水は1%を切っているとされます。
もちろんその全てが綺麗な水であればいいのだが、地域によっては利用可能であるはずの水も少々の浄化では汚染などによって現実には使えないところも多い。すなわち、私達が本当に利用可能な水は非常に僅かなのである。あるいは、気候的に元々降雨が少ないところでは旧来から水は貴重な資源だったが、世界的な砂漠化は現在も徐々に広がっておりこの面からも見ず需要は高まり続ける。

最近では中国資本による日本水源地取得が問題となっているが、土地を持って逃げることができないので必ずしも効果的な方法とは思わないものの、その分水需要に対する切迫感が感じられる。長期的には水源地を抑えることで近隣への影響が出るのではないかと懸念される面もあるが、それで儲けが出せるほどのメリットはおそらくない。軍事的な野心でもない限りは、バブルがはじければ去っていくことになるのではないかと思う。もっと考えれば、混乱の続く中国を捨てて日本に移ってくるかも知れないが、それを考えるのが今回の目的ではないのでおいておこう。

どちらにしても水は生命の根幹であり、その安定した供給無しに文明は成立しない。すなわち、石油よりも貴重な資源なのである。発展途上国では、どうしても工業化などに目が行きすぎてしまい短期的な利益のために長期的にはより貴重な水資源を蔑ろにしている例が多い。
既に過去から将来的には淡水を奪い合う戦争が起きてもおかしくないと常々言われてきたのだが、その割には現時点においてそのことがあまり新聞などを賑わすこともないのは却って不気味に感じるくらいである。
日本は海水の淡水化プラントなども製造しており、既に中東諸国には輸出しているがこれらはコストとして非常に高価である。逆に言えば金持ちしか綺麗な水を得られないとすれば、水の貴重さはますます価値を高めることとなる。
中国向けの環境ビジネスが意味を持つのは、そうした状況がもたらしている結果でもあり、現実に随分前より日本の保有する水の浄化システム技術は中国側より何度も提供を請われている。

今はまだ、水そのものを求めての争いまでには発展してはいないが、人口の多い中国などではそれが内乱の原因ともなりかねないことについては考えておいた方が良いだろう。

「たかが水、されど水。」