Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

消費税と課税制限

私の意見は、現時点での期限を決めた消費税増税には反対であることは何度も書いてきた。
しかし、マスコミは絶対に消費税を上げたような動きである。あるいは、経団連も同じ穴の狢であろう。そこで少し考えてみて一つ良い方法を思いついた。
現在、消費税の納税義務は年間1000万円以上の売り上げの事業者にある。1000万円とは言っても利益ではなくあくまで売り上げであるから、事業をした人ならわかるだろうがすぐにその程度の売り上げには達してしまう。すなわち現状でも小規模零細業者まできっちりと消費税を払わされているのだ。
納税は国民の義務であるから払うのは当然であるが、結果的に大企業よりも中小企業の方が消費税に経営を大きく左右されている。現実に、消費税の滞納は他の税金よりも随分と高いと聞く。私の想像ではあるがおそらく小さな企業が容易に回転資金として預かり税である消費税を流用してしまったことから生じる現象であろう。
一方で、輸出などを行う大企業は海外での販売には消費税がかからないために、逆に戻し税と言うことで消費税が一部還付される。法的な矛盾はないが、売り上げ全体にかかる消費税の割合は国内で販売する零細業者よりは小さくなるであろう。だから、法人税を引き下げ消費税を上げろと経団連が主張するのは、なんのことはない自らが負担する税率が下がるからであろう。

他方、国内景気は一向に盛り上がらない。一時もてはやされたベンチャー企業の独立なども、一向に広がりを見せ無いどころかむしろ低迷していると言って良い。
私は、広く国民が好景気を享受できるのは中小企業の親父が潤っているような状態であると思っている。貿易で利益を出す大企業がいくら最高の利益を積み重ねても国民生活は豊かに感じられることはない。なぜなら彼らが還元するのは、今となっては従業員よりも株主に対してであるからだ。

そこでである。私の主義とは異にするが、仮に消費税を引き上げるのは仕方がないとして考えてみるならば、消費税の納税義務の制限を年間売り上げ1億以下にまで引き上げてはどうだろうか。これにより規模の小さな企業は益税という不労収益を得ることにはなるが、このさいそんな事には目をつぶろう。なぜなら、こうした小規模企業が潤うことこそ国民生活が豊かに感じられる基本だからである。簡単に言えば、小規模企業に補助金を払っているのと何も変わらない(補助金よりは手間がかからない)。税務処理も大きく手間を減らすことができる。考えてみれば日本の大部分は中小企業なのだ。年間売り上げが1億以下の企業がどの程度かはわからないが、相当数の消費税税務処理が不要となる。会計士事務所には申し訳ないが、法人税はどちらにしても支払うのだからそこは許して貰おうじゃないか。
これは、大企業から中小企業への富の移転でもある。しかし、国内景気を活性化するためには何よりもこうした層の消費が活発になる必要がある。これまでの施策は一律の負担を強いてきた。むしろ「クロヨン(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%A8%E3%83%B3)」と呼ばれる小規模の自営業者などの税の抜け道をむしろ強く否定してきた。
確かにそれは公平性を考えるならば正しい。しかし、それを追求するが故に結果として景気を冷え込ませているとすれば、社会トータルを考えた場合に果たして良いものなのだろうか。
国内景気が良くなれば、輸出で四苦八苦している企業も結果として息を吹き返す。若者達は果敢にチャレンジするようになるであろう。元気のある日本が帰ってくる。いや、大企業に勤めるサラリーマンと年金で暮らすお年寄りには今よりちと辛い状況ではある。

もちろん、何でもかんでもそんなに上手く行くとは私も思わない。そもそも私が言っている方法は成長戦略でも何でもない。それに企業側も様々な手を使って子会社を分離するなどして節税を図るだろうし、あるいは下請けに消費税分を下げさせようともするだろう。そこには一定の歯止めも必要だと思う。ただ、好景気とはなるべく多くの国民が豊かさを感じることだとするならば、大企業を優遇して世界と勝負をしても好景気は決して私達の手元には来ない。国民を豊かにすること。それが国家の最も重要な使命であったはずだと思うのだ。

「社会でも人でも動かすためには飴と鞭が必要だ。鞭のみを泣きながら振り回しても誰も付いてこない。」