Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

笑顔の効用

笑う門には福来たる。
笑顔は幸運を呼び込みやすいというのは、個人的な実感としても事実だと思う。
しかしながら、誰もが笑顔の方が良いと思いながらもそれを実戦できる人がそれほど多いわけではないものだ。
なぜ、私達は容易に笑顔を振りまけないのか。
それを考えるには、様々な感情表現が一体何を示しているのか(相手に対するメッセージ性)について考えてみると良い。
基本的に、笑いは肯定を意味する。
逆に、表情が乏しければ拒絶を意味し、怒った顔は当然ながら非難を意味する。
私達の普段の生活は、言葉で理解できない部分を行動や態度のみならず、こうした表情からも読み取ろうとしているわけだ。だから、笑いは相手に安堵感を与える。単に愉快だ、楽しいと言うだけではない。

もう一つ、表情によるそれは言葉や行動よりも直接的ではないと言うことがメリットに働くケースがある。
笑いはまさに曖昧が故に相手に良い想像を働かせるというメリットがある。
実際には、何に対する笑みなのかなどわかるはずもないのだが、人は常に自分に都合良い理解をすることが多い。
だから、笑いかけられたら自己に対する許容を認識するのである。

さらに、笑いは他の表情と違って人に何かを強制しない。
泣く、怒るなどの表情は、拒絶であったり否定を相手に押しつける。実際に押しつけるような行動を取らなくても、相手の側からすればそれを感じ取りやすい。分類としては以下のような感じと言えるだろうか。

笑う=同意・肯定・それを曖昧にする→行為そのものは人に何かを強いない
泣く=拒絶・拘る・すがる
怒る=否定・当たる・押しつける

だから、笑顔は私達に安堵を与えてくれる。
安堵が馴れ合いに結びつく可能性がないわけではないが、少なくとも自己正当化や萎縮に結びつくことはない。
笑顔は周囲をのびのびとさせるのである。

さて、最初の問いに戻ろう。
ではなぜ私達は容易に笑顔を振りまけないか。
それは、自分自身の相手を許容する能力に自信がないことにあるのだと思う。
「ゆとりがない」と言っても良い。
よく、「人には頼らない」とクールな態度を決め込むケースも聞くが、これは人には頼らないのではなく、人に頼られたくないの裏返しでもあるように感じるのだ。
人に頼られると言うことは、責任が自分に大きくかかることを意味する。
その責任を負いたくないと無意識に考えるからこそ、相手を許容しがたくなり、結果として笑顔を容易に出せなくなる。
そして、気心の知れた中なら自分に責任が及ぼされることがないと知っているが故に、容易に笑顔を振りまくことができる。

「笑顔は許容を示す。それ故に作り笑顔の怖さを知る。」