Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

G8は輝きを失った。G20は目的を失っている

現在は国連以外の主要国の集まりとしてはG8(あるいはG7)とG20がある。
先日のG7では、欧州発の金融危機に対して結局何も有効な手を打つことができなかった。
日本の円高抑制提案は、議論してもらうことすらなかったのはご愛嬌である。
・・・なぜなら、実質的に世界通貨安競争に突入しているところ、だれが通貨高の国のことを気にするだろうか?
さて、実はG8が何も決められないお飾りの存在になってしまったのは、もう随分前からである。おそらくは、日本がバブル崩壊にあえいでいたころあたりではないだろうか?
そこは、アメリカを中心とした経済的な利害関係を調整する場であった。

未だに世界的の最も発言力のある国、すなわちアメリカにとってはG8も国連と同様に当然のごとくアメリカの国益を追求するための道具である。
だから、自らの立場を有利にさせるのでなければやる意味はない。
以前、G8に中国を加えるような案を前菅総理が出したこともあったが、参加国から失笑を持って受け止められたのも懐かしい。仮にそこに中国が加わっても、拒否権を行使するのみで従うことなど無いだろう。中国に枷をかけられないのであれば加える意味がない。

G8は、かつて世界の中でGDPの高い国々の会議であった。当初は世界のGDPの多くを占めていた。だからこそ、その会議の位置づけは高く保ち得た。経済的には安全保障会議と同等の決定力を有していたと言っても良い。しかし、今ではそのシェアはおそらくかなり落ちている。同様に日本の国際的地位も落ちた。
だとすると、G8で合意しても世界的な動きを誘発できない。すなわち、現状は歴史的な権威という意味以外には何もないことになる。

欧州は、まだ権威に重きを置くので意味を見いだすかも知れないが、アメリカがそろそろG8を無用の長物と考えはじめていてもおかしくはない。
G20になって、ようやく昔のG7時代の世界シェアを確保できるのだ。
しかし、逆にG20は数が多すぎるため物事の合意が容易に得られない。それは、何も具体的なことを決めない会議になるだろう(決めないのではない、決められないのだが)。

その後、一時はアメリカと中国によるG2という呼び方も生まれた。
シェアは少なくとも、世界を動かせる集まり。
もちろん、中国とは味方と言うよりは実質敵である。
だが、その二つの国で世界を動かせるのであれば、何も決められない、何も影響を及ぼせない集まりよりは幾分マシかもしれない。
もっとも、アメリカと中国の両者が双方とも満足できるケースは非常に限定的であり、強者故の妥協が出来ずにこれも現状では潰えたように見える。

こんな混迷の時代において、日本が再び世界において輝きを取り戻すためには2つの道筋がある。
一つは、フランスのように一言ある政治的なキーパーソンになること。
でも、それは歴史的に見ても日本には難しい。少なくとも自前の軍隊を持てないようでは話にはなるまい。

もう一つは、経済的にかつての輝きを取り戻すこと。
経済で再度の覇権を目指すもの。
これも容易な話ではない。
しかし、小さくてもきらりと光る国を生み出すよりは可能性があるのかも知れない。

「想像力と文化が鍵となるであろう。政府がすべきはそれを保護するのではなく、売り込むためのスキーム作りである。」