Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

事業仕分けすべきはピンハネという不公平を無くすこと

行政の無駄を省く。それは大きな方向性としては間違いない。
ただし、それは支出を抑制すると言うことと混同されて報道されているのがおかしいと感じる。

国の支出は、日本経済の一部である。それを抑制するのは民間が十分活発に経済を回している状況であれば当然である。しかし、民間経済が低調な時期にそれをするのは、日本の景気をますます冷え込ませる方向に働く。

では何が問題なのか?
直言すれば、国の支出にぶら下がっている組織や人間が多いことである。
要するに、多くの人々が不景気の現在において国の支出を望んでいる。
この支出が公平に機会が国民に与えられているのであれば、それは大きな問題ではない。
その国の支出を、一部の組織や人間が優先的に態に入れる。これが不公平なのだ。

景気が良かった時期であっても、過去においては状況が違ったわけではない。ただ、民間経済が十分回っていれば国の支出など気にする必要がなかっただけである。
しかし、現在一部の組織(特に公務員が退職後に所属する団体など)が優先的に国の支出の恩恵を受けている。その不公平さが何よりも問題とされているのである。

支出する側にもそれなりの論理はある。
国の思うような対応を、民間企業がしてくれない。
だから、それを理解できるところにお金を出すのだと。。。
本当に、その団体が全てを行っているのであればその論理も一応は筋が通る。しかし、現実にはこうした団体は経費を抜いて実質を民間企業に外注しているケースが大部分なのだ。
であれば、その経費分(しかも、バカにならない経費率である)は本来必要のない費用ではないか。その分多くの発注を行うことが出来るのである。

要するに、国の支出におけるピンハネ構造が出来上がっていると言うことである。

だから何をしなければならないのか?
中間団体を排除すること。
外郭団体で本当に専門的な技術力が必要な組織では、受注した事業の30%以上を一括下請けに外注することを不可とすればよい。
それが不可能な場合には、国が民間のそうした調整機関(中間団体)を選定して委託すればよい。あるいは国そのものがその調整機関となる(現実にはマンパワーとしてそこまでできないので難しいだろうが)。

現状においては、こうしたピンハネ構造が何重にも重なって存在しているケースすら見られる。何のことはない、国と一般経済の間に水を吸い込むスポンジのようなものが存在しているのである。
一般経済に十分水があるときにはそのスポンジなど気にはならない。しかし、一般経済のそれが枯渇したとき、そのスポンジに吸収される水は大きな問題となってしまう。それこそが、問題とされなければならない部分であろう。

だから、行政刷新や財政見直し、事業見直しなど、様々な形で言われてはいるが、現状において支出を絞ることは国の経済にとって良いことではない。そうではなくて、一部のもののみが特権的に国の支出の恩恵に与ることを無くそうと言うことが重要なのだ。
さらに言えば、その支出が経済を押し上げるためにどれだけ効率的な場所に出されているのかも問題になる。

かつて、公共事業が一部の建設業者との癒着の構造であるとしてマスコミに多く叩かれた。もちろん、そこに癒着があることは大きな問題である。しかし、それが公平に支出されるような仕組みがしっかりと出来れば、国の経済をよくするためには最も効率的な支出の方法でもある。
実際には、公平性を担保するための方法論を厳格にして支出を続けるよりは、支出そのものを無駄として省いていく方向に堰を切ってしまった。
それに代わる新しい効率的な支出方法が見つかるのであれば、当然正しい選択であっただろう。ただ、残念ながらその新しい方法は見つからなかった。

公務員問題でもそうだが、現在の国民の有する不満の大きなところは不公平さにある。
既得権益として本当に排除されなければならないのは、公正な競争で勝ち残ったところではない。不公正な手法により不当に得ている利益を守ろうとする存在なのだ。

政府機関の外郭団体たる公益法人問題の最大の部分はそこにある。
そして、所管する役所がこれら機関を守ろうとすること。
政府が目指すべきは、結果の平等性ではなく機会の平等性なのだ。

「最悪なのは平等を謳い、紛争を調停をするがごとく姿勢で利益を掠め取る者たちである」