Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

バカとストレス

バカは風邪引かないの「バカ」が頭が悪いことと同義でないことは、普通に意味を考えれば当然わかる。問題は、このコラムで話題にしているようなストレスの問題と単純に結びつけて良いかどうか?もちろん、ストレスを感じない人が病気になりにくいというのはその通りだろう。

ここで話を別のところに振ってみよう。

例えば、毒。poison。
人間にとっては天敵の存在。
さて、人間は毒によって死ぬこともあるが、毒はどうやって人間を殺すのだろうか?
毒が人間を溶かす?いや、それは硫酸や硝酸などの強酸ならともかく、毒そのものが細胞を溶かすわけではない。
毒が、人間の生命活動を強制的に停止させるのか?
この問い自体は微妙だが、毒に殺意があるわけでもない。

毒がなぜ人を殺すか?
それは、人間の生命維持活動を混乱させるからである。
混乱のさせ方が生命維持を満足に機能できなくなる形で働く化学物質が毒と呼ばれる。
少量の毒が薬として働くことは遠い昔から知られている事実である。
実際、薬も大量に服せば毒となる。

では、劇薬と呼ばれるようなものは何が問題なのか?
それは、効果が極端に現れること。
ごく微量で大きな影響が現れてしまうこと。
それ故に制御が難しいこと。
難しいのであれば、手をつけないでおこう。。。。それが人間にとっての「毒」なのだと思う。

要するに、毒であるか、薬であるかすら、使用量や使い方次第。
極論を言えば、フグの毒も使い方さえ間違わなければ、薬として利用できない訳じゃない。
もちろん、使用できるケースが限定されてしまえば、実用性に耐えないだろうが。

さて、話は戻って「バカ」。
関西弁で言えば「あほ(カタカナではない)」の方がしっくり来るのだが、要するに憎めない不都合。
おそらく、風邪を引かない「バカ」は頭脳の回転を示す指標ではなく、部分的に感受性や反応が低い状態を示す。
一方で、人間に与えられる毒は「ストレス」。
このストレスが全くない状態が人間にとって素晴らしい状態なのか?
私はストレス無しに人間は生きていけないと考える。
問題は、あくまでその程度にあるのだ。

バカは、そのストレスである毒を上手く制御できる。
だから、風邪を引かない。
それは意識してかもしれないし、無意識かもしれない。
意識してそれが出来れば凄いと思いますが、無意識のうちにそれを身につけている。
ストレス回避の方法は、日常生活において多少コミカルだろうが、人々はそれを親しみを持って「バカ」と称したと考えると面白い。

単純に抜けているからストレスに強いと考えても良いのだが、それは人間が保有しているストレスという毒に対する防衛能力の一つだと考えると、まさに生命の強さの一つとも言える。生命力があるというのだろうか?

一方で、先ほども言ったが毒は少量であれば薬になる。
それは、モチベーションと呼ばれたり、努力目標と呼ばれたり、反骨心と呼ばれたり、ケースに応じていろいろな表現が為されるが、ある毒に耐えるという経験が人間の生命力を高めるのだと思う。乗り越えるということは、その毒を軽く感じることが出来るということ。「バカ」は最初から感じないでいられるのだから生命力の点に限っていえば凄いものだ。

もちろん、目標達成などは「バカ」にはできないわけなのだが(笑)。

「ストレスたる事項も真に気づかなければ、無かったも同じである。ある種の『バカ』はその能力に長けている。」