Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

就職活動

元朝日の植村隆氏、NYで安倍首相を批判 櫻井よしこ氏らも 「私はこの闘いに負けない!」(http://www.sankei.com/world/news/150505/wor1505050039-n1.html?view=pc

 元朝日新聞記者の植村隆氏が、わざわざNYでの記者会見を行ったようだ。日本でも確か外国人記者クラブでは会見を行ったが、日本のメディアの前(一部のネット議論以外)には登場して説明しないことで有名である。まあ、誹謗中傷により職を追われたわけだから、正直に言えば多少可哀そうかなという気もしなくはないが、自分の過ちを認められない姿は哀れでもある。
 一部ネット上で行われていた、植村氏の子供まで取り上げる活動は間違いなくすべきでない卑劣な行為だと私は思うし、それに対する反論には正当性があると私も認める。ただ、それ以外については正直なところお互い様かなと言う気がしている。
 また、植村氏のみが目立ってしまった感じがしているが、彼が「従軍慰安婦」という言葉の生みの親でもなければ、最初にそれを持ち出した存在でもなく、全ての元凶ではないことを知っておく必要があるだろう。彼が目立っているのは身内(義理の母)に対する利益誘導が露骨ではないかという部分が非常に大きい。

 慰安婦問題に関する植村氏の立ち位置(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%8D%E6%9D%91%E9%9A%86)については、ネットを検索すればいくらでも出てくるので今さらここで取り上げるほどのことはない。ただ、日本国内で自らの正しさを証明しようという行動が全くなく、海外で一方的に支援者に対してのみ声を上げるような内弁慶な姿勢は、間違いなく日本人には受け入れられないだろう。
 すなわち、植村氏は一体誰に対してアピールしているのかということである。今、アメリカと日本は安倍総理の議会演説からの蜜月もあり、慰安婦等の歴史認識を取り上げる雰囲気にはない。もちろんアメリカも一つ岩ではないので植村氏を応援する人もいるだろうが、現時点でわざわざそれを取り上げるメリットがないのはなんとなくわかる。
 だとすれば、誰がNYに彼を呼んだのか。ここからは推測ではあるが、韓国(その背後の中国は今回どれだけ絡んでいるかわからない)はこれまで以上のロビー活動を続けることを検討(http://japanese.joins.com/article/757/199757.html?servcode=100§code=140)しており、その一環である可能性は少なからずあろう。

 植村氏の主張については、皆さんがそれぞれの感想として判断してもらえばよいと思うが、朝日新聞誤報と判断した内容にまで真っ向反対しているのは面白い。そこに見えるのは、格好など気にしていられない必死さである。正直な話を言えば生活にそれほど余裕があるわけでもなく、内定済みであった安定した就職先(松蔭女学院教授就任)を一部のネットの活動により阻止され、かろうじて得た非常勤の立場すら追いやられた恨みが先に立ってる。
 その上で、自らの安定した生活を得るためにはいっての社会的ポジションを得なければならない。理想形は日本国内の大学で教べんを取ることであろうが、それは現状では叶わなくなったと言えるだろう。だとすれば、日本以外でそれを得るしかない。
 多くの日本人からは受け入れられない状況では、今さら摺り寄ってもプライドも立場も崩れてしまうのであから、現在取り得る立場はこれまでの主張をエスカレートさせて出すしかない。非常に苦しい胸の内を吐き出せば、出てくる言葉は自分を追いつめた者たちのなかで目立つ人(名前のわからないネット以外)に対する怨嗟の声である。

 しかし、そのポジションを明確にすれば場合によって利用できると考える勢力が、自らの就職先をあっせんしてくれる可能性は捨てられない。その結果として、彼は言論を今まで以上に先鋭化させる。
 でも、正直言えば私からすればやっているのは就職活動にしか見えない。最初にも書いたが、植村氏からすれば納得出来ない状況もいろいろとあるだろう。私も行き過ぎだと思う行動はいくつも見かけたし、慰安婦問題に関する責任は植村氏一人にあるわけでは無い。
 しかし、だからこそ今最も大切なのは主張の先鋭化ではなく冷静にそれを解説することであったと私は思うのだ。その中には容易なことではないだろうが自分自身のミスを認めることも含まれる。今回の記者会見を見る限りにおいてそれを拒絶したように見えるが、だとすれば彼はその先に責任も自ら負わなければならない。
 報道の場にいた者が感情論を煽る姿は見ていて滑稽でしかないが、それも人間の一つの姿である。人は生きていくためにいろいろな失敗を犯す。その失敗を冷静に眺めることは決して容易ではないと思うが、向き合う姿勢により自らのポジションが固まっていくのであろう。

 彼の就活が何とかなるように祈りたい。