Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

re:文化大革命

 無茶でもごり押しが通ればそれは成果になる。もちろんその代償として失うものも少なくないが、目先の利益に目を奪われてしまえば妥当な判断ができなくなることも少なくない。最近の中国共産党習近平政権の打ち出す道筋は、そんな感覚を引き起こさせるものである。
 海洋圏拡大のための日本やフィリピンなどではの執拗な嫌がらせもそうだが、国内における自由な言論を叩き潰そうという活動も強化されている。国内の政権に否定的な言論は元々それほど許容されてはいないが、それでも幾分は自由を掴みつつあった。それがここにきて、民間人なども一時的な拘束(http://sankei.jp.msn.com/world/news/130915/chn13091523160006-n1.htm)を受けるようになったのは、あたかも文化大革命の繰り返しのような状況を見せつつある。もちろん、現状は一時的な拘束という恫喝にとどまってはいるものの、それが繰り返されれば効果は徐々に薄れていく。

 新しい権利を得ようという希望の間はまだしも、一度手に入れたものを手放すことは非常に難しい。恫喝程度であれば誤魔化しも効くだろうが、これは実質的に中国人民の権利を大きく奪い取るものとなった時に、果たして制御ができるのかは疑わしい。
 チベットでもウイグルでも、中国共産党政府が奪ったのは単純な希望のみではなくそこに存在していた現実であった。だからこそ、激しい抵抗は収まることなく現在も続いている。漢民族ではないということでの数の論理が国内的な意思として許容されたとしても、同じ民族内での衝突を許容できる寛容性は現在の中国にはあるまい。
 現在の道筋は、結果的に国内的な騒乱の種をまいているのにも等しいが、それを力で封じ込めることができる考えているのであれば、現在の政権は見通しが甘いのではないか。

 日本の尖閣諸島海域への防空識別圏設定は、識別圏の設定そのものよりもそれを実質的にに領空として活用しようとする行動にこそ問題の本質がある。いきなり領空と言い切れないから、別の言葉を用いて実質的な果実を取りに来ているのは間違いない。
 加えて、日本のみならず世界の反応を探りに来ているという面もあろう。ただ、力のみによりこのような愚行を許容できるほど世界は甘くない。もちろん、一時期はふらついていた日本の政権も、韓国に引き続き行われる中国のちょっかいを経て安定したものに変化するであろう。それは、朝日新聞などのメディアがいくら騒ごうが変わるものでもない。
 一時期、日本の世論の動向を非常に気にしていた中国であるように見えたが、ここにきてそれを無視し始めるように見えるのは、冷静な分析により無視できると判断したのではなく、むしろ日本の世論を操作しようとして失敗し続けた結果から目を逸らしているだけのような気がする。

 日本から譲歩を引き出せれば国内的な不満を多少なりとも抑え込めるかもしれないが、現状では日本が妥協する状況にはない。むしろ世界的な反中国(覇権的政策へ)の圧力も高まりつつあり、狙い通りに事を進めているといった状況とは程遠い。
 そして、外部的に膠着を踏まえた結果を内部的な言論統制により八つ当たりしている今の状況を、筋書き通り上手く進んでいると考えている共産党幹部もいまい。むしろ、閉塞状況にある現状を如何に打開するかに頭を悩ませているのであろう。
 八方ふさがりの現状において国内的な不満が高まれば、ますます日本への高圧的な態度が加速するであろうが、中国自体は一部の暴発でもない限り現状で日本と本格的なことを構えられるとも思わない。戦争できる体制を言葉の上では進めているが、ネット上の一部を除けば大部分の中国人民はそんなことはどうでも良いのである。むしろ日々の生活に困れば、その不満の方がずっと深刻で切実な問題となろう。
 状況が予断を許すわけではないが日本とすれば、当面のこう着状況(中国に押し込まれない)を続けることができたならば、中国政府は内部的な混乱を招くであろう。電撃的な尖閣占領が行われる危険性は今でもあるが、逆に言えばそれさえ防ぐことができれば中国国内に渦巻くマグマは決して小さくない。
 習近平に、第二の文化大革命とは言わないまでも第二の天安門を実行する胆力がなければ、その先の底は知れている。もちろん、こうした凶行を望むものではない。