Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

オートバイ離れ

 日本におけるオートバイの保有台数・販売台数共に低迷が著しい。
(WEBオートバイ:http://www.autoby.jp/blog/2011/05/post-b8aa.html
(Harley.com:http://www.virginharley.com/harley-enjoy/labo/003.htm
 一方の自転車販売数は、横ばいか微増傾向
(Garbagenews.com:http://www.gamenews.ne.jp/archives/2008/12/post_4330.html
 自動車の生産台数は景気動向の影響が大きいものの、ほぼ横ばいとみなして良いか。
http://www.juntsu.co.jp/jouhou/toukei/toukei13_1.html
 もっとも、最近では車に乗らない若者が増えているという記事もあり、今後は少子化も相まみえて自動車の保有台数も減少していくことになるだろうと思う。ただ、現時点で言うならば発動機付き二輪車(=オートバイ)のみが先行して大きくシェアを落としている。
 かつては、暴走族など一部の強烈な跳ね返り者を除いたとしても、若者の中でオートバイは一定のステイタスを誇っていた。大型バイクの免許(限定解除)を保有することは憧れの一つでもあったし、やや迂遠な例示かもしれないが、漫画を取り上げてみても根強い人気を誇る暴走族(不良)もの以外のいくつものオートバイを題材とした漫画(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AF%E6%BC%AB%E7%94%BB)は存在した。若者たちの興味を知る上で、こうしたメディアなどに取り上げられる量の変遷は大きな意味を持つと思う。そういえば、かつては幾度となく沸き起こったスーパーカーブームも今では遠くなってしまった。仮に多少の興味を誘引したとしても、スピード等の性能に惹かれるのではなく希少価値やステイタスそのものの方が強い価値を誇っている。
 もちろん現在でもいくつかの漫画が連載中ではあるが、かつてほどの輝きがそこには見えてこない様に感じている。連載中の漫画に「ばくおん!!(http://www.akitashoten.co.jp/comics/search?q=%E3%81%B0%E3%81%8F%E3%81%8A%E3%82%93!!)」というものがあるようだが、女子高生×バイクという舞台からもハードな雰囲気は見いだせない。あるいは現在テレビ放映されているアニメーションでバイクを取り上げているものも目立たない(全てを知っているわけではないが)。

 どうやら、バイクは若者たちの興味の中心的から外れているのが現状ではないか。元々、バイクは車よりも安く格好いいということが若者の歓心を捉えていた。しかし、社会に変化に伴い格好いいという言葉が意味するイメージが徐々に変わりつつある。
 命を懸けた一か八かの険しさではなく、一定の安全を担保した上でのスマートさ(場合によってはコミカルさ)が現代におけるクールなのかもしれない。それ自体は頭から否定されることではないのかもしれないが、いまいちリアル感が感じられないのも事実である。生命を感じる命がけの行為から得られるリアルさは、命を軽視しているという意味で現代では非難されかねないが、生きている実感を感じるという現実は何よりも生々しい。不良を題材にした暴力的な漫画が、いつの時代にも一定の評価を得るのは、そのリアリティに関する代償行為なのだろう。
 そして、社会の安全志向はリアリティすらもバーチャルの中に封じ込めようとしている。私たちの感覚は封じ込められたリアリティを電脳空間を介した視覚のみで代替しようとしているが、視覚が人間の得る情報量の大半をカバーしているとしても、量的には優位であっても厚みが大きく不足する。

 オートバイ離れが、ネットの普及と関連するという情報があるわけではないが、皮相的な情報の広がりのみに満足するようになればなるほど、ごく一部のコアな人たちのみがマニアックにそれを追い求め、数多くの人たちの興味からは外れていくのかもしれない。