Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

対馬とICJ

 竹島http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B9%E5%B3%B6_%28%E5%B3%B6%E6%A0%B9%E7%9C%8C%29()対馬(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E9%A6%AC)を同時にICJ(国際司法裁判所http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8F%B8%E6%B3%95%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80)にかける。こんな意見をネット上で見た。現状、竹島について日本政府は国際司法裁判所にかけることを交渉用のカードとしようとしているが、韓国が同意しない限り裁判の審議が行われることはない。多少の脅し的な効果はあると思うが、それにより状況が大きく変わることはない。
 一方で、韓国内では現在は一部の動きではあるものの、対馬を返還しろという日本人とすれば信じられないような活動が行われている。しかも、民間レベルの運動ではなく国会議員レベルまでそれを推し進めようとする者までいる。想像するに、竹島を不法占拠して現在まで実質的に支配できたことに味を占めたのだろうと思うが、過去から韓国及び朝鮮半島の国家が対馬支配下に置いたことはない。

 上記の竹島対馬同時提訴案は、竹島問題の国際司法裁判所での審議に消極的な韓国政府を、韓国民を焚きつけることで政府の圧力をかけさせようというものだろう。面積で言えば、竹島は人がまともに住めるようなものではなくわずか0.23(km²)でしかない。一方の対馬は708.5(km²)と3000倍以上の面積差が存在する日本国を形成するの島としては10番目(本州や北方領土も含めて)の大きさの存在である。
 だからと言って韓国政府がこんな挑発に容易に乗ってくるかどうかはわからないが、魅力的な提案に映らないとも言い切れない。日本人からすれば対馬竹島も間違いなく日本の領土であり、特に対馬の場合には争うのも馬鹿馬鹿しいほどの状況なのも確かであるが、一般的に見ればこの交渉は韓国人の方に有利なものと見えるだろう。

 では万が一韓国政府が受け入れて、両者同時に国際司法裁判所に提訴したとすればどうなるだろうかを想像してみる。そうすると、必ずしも日本にとっては芳しい結果が得られないのではないかと想像できる。確かに歴史的経緯や国際法からすれば双方とも日本の領土であるという印象が得られるかも知れない。ただ、第三者からすればどこかでバランスを取ろうとするものである。要するに、結果が日本の一方的な勝利という結末は当事者ではない第三者からすれば居心地が悪いのだ。
 おそらく、議論は双方歴史的な資料を出し合うことで激論となるだろう。加えて感情論やその他のバトルはメディアを含めた大層なものになるに違いない。特にその傾向は日本以上に韓国の方が強くなる。裁判は本来事実に基づき公正な判断を示す機関ではあるが、国際司法裁判所などはむしろ調停機関としてのイメージが濃い。それは強制執行を担保する権力の後押しを持たないからである。

 結果的には、対馬は早々に日本の帰属という結論に至るであろうが、竹島の方は必ずしも早期に結果は出ない。むしろ先に結果の出た対馬の影響を受けて印象的に韓国に有利に働く可能性が高い。対馬という大きな成果を得たのであれば、竹島程度の微々たる負けは受け入れろと言うことだ。
 結果として、実質的に紛争のない対馬に対する変な言いがかりを退けるのみで、竹島については心情から韓国に取られてしまうと言う結果が想像できるという訳だ。ちなみに、仮に双方とも日本の領土だという結果が出たとしても韓国は現状の竹島から出て行くことはないと思っている。国際的な判決を無視しても居座るだろう。その先にあるのは戦争しかないが、日本は裁判に勝ったからと言って戦争を仕掛ける訳にはいかない。そして、現状と変わらぬ状況が続くのみである。唯一大きく違うのは今以上に竹島が日本の領土であると強く訴えかけることができるという程度である。
 それでも根拠を得て状況が大きく変化するという意見もあろう。ただ、軍事的な攻撃による排除ができない以上、実質的には今と何も変わらない。別に竹島を諦めよと言っている訳ではない。今回の思考実験をしたように、餌を用いて竹島を取り戻そうとしても日本にとってはあまりメリットがあるものでは無いということを言いたいのである。
 非常に苦々しい状況ではあるが、韓国が経済的に困窮して日本に竹島を返すことでの援助を引き出そうとでもしなければ、日本は戦争をしても奪い取ると考えない限り竹島は戻ってくることはないだろう。そして、少なくとも今の日本に戦争の選択肢はない。
 だとすれば、現状を既成事実として積み重ねられない範囲で続けていくことになるであろう。