Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

面接

人が社会で生きなければならない以上、人生において幾度かの面接を誰しもが受ける。その軽重や内容は様々あるだろうが、自らを売り込むためには面接で好印象を与えたいところである。
そもそも面接とはなぜ必要なのだろうか。当たり前の話ではあるが、その人の人となりを目で見て確認するという基本的な必要性がそこにはある。社会的な適合性や、履歴書等に嘘偽りがないかどうかなどと言う、基本的な人物照会である。企業などでも、その人の能力として知識の部分についてはペーパーテスト等を用いてある程度は確認できる。学生時代の成績や様々な活動経験・受賞歴なども参考となろう。ただ、人間的な協調性や態度等についてはやはり直接面談しなければ少しの推察もできやしない。
ただ、多くの人事担当者が経験するであろう様に、短い面接でどれだけのことがわかるのかと言う疑問が残るのも事実である。明らかにおかしな存在をはじくという荒いフィルターとして程度しか役立っていないケースもあるだろう。

ただ、面接にはそれ以外にも役割がある。上記のような一般的人物像やペーパーテストで確認できる知識レベルなどは、基本的にルーチンワークをこなすために必要とされる素養である。雇い入れる側からすれば、如何に従順で堅実かを確認していると言って良い。トラブルを起こす人間を雇うのは企業としてもリスクが大きいのだ。
しかし、そんな人物ばかりを雇う企業が上手くいくかと言えばそれもまた怪しい。企業をリードして引っ張っていくような人物もまた必要なのだ。面接は、このような人物を洗い出す役割も果たしてくれる良い機会なのである。企業をリードするということは幹部候補生とも言えなくはないが、あくまでスタート時点での能力であって将来が約束されるほど甘くはない。それでも、能力があると認められることで希望の配属を勝ち取れる可能性が高まるなど、自己アピールの場所としての面接の価値は受ける側にとっても大きくすることが可能ではないかと思うのだ。
さて、ルーチンワーク以外の人物像を面接により見いだそうとすれば、そこで何を求めるかはいくつかのパターンがあるのだろうが、最も用いやすいものは容易に解答の出せないような質問を投げかけて、そこへの対応を見るという方法がある。この場合、その問いに即座に且つ的確に答えられるかどうかを見ているのではなく、おそらく手持ちの知識や経験などから突発的な問題に如何に対処するかを見ていると考えて良い。それこそがルーチンワーク以外のイレギュラーに対応する能力や、あるいは創造的な能力を面接により確認しているのだろうと思う。

多くの人は、こうした突発的な質問あるいは答えの容易に出ないような質問に戸惑ってしまいがちである。面接の対策やマニュアルを見たからと言って出来る問題ではないからである。しかし、逆に考えればまさにこのような機会こそが自らの能力を的確に誇示できる場所でもあるのだ。
それでは、このような突発的な質問に上手く答えられる方法はあるのだろうか。地頭を良くするというのは確かに重要ではあるが、それ自体がなかなかできることではない。だとすれば、普段から様々な突発的な想定を自分の頭の中で数多く行っておき、こうしたパターンに慣れておくと言うことが最も重要な準備となる。当然のことながらベースとしての深い知識を保有しておくことは当然であるが、こうしたシミュレーションを行っているかどうかは、面接における緊張に対しても有効に働くだろう。
機動戦士ガンダムにおけるシャア少佐の「物事は常に最悪を想定しておく」は極端すぎて現実に出来るものではないが、その手前までならば普段の行動で気にすることは可能であろう。そして、こうした思考は面接のみならず実際の仕事や研究の場でもおそらくかなり役に立つ。

人は流されやすいものであり、ついつい余分なことは考えないようにしたり、不必要なものは無視したりしがちである。それは効率的であると確かに思うが、そういいながらネガティブな思考に囚われ時間を無駄にしたりもしているのだ。だとすれば、普段から様々なケースを脳内シミュレーション(tしゃからもたらされると思うものを想定する)ことは思っている以上に意味がある。
加えて、その内容を文章として買い出しておくことが効果的であろう。頭に浮かんだものは容易に消え去る。「考えていたはずだけど覚えていない」などはしょっちゅうあることである。それを何かの形で文章化しておくことは、考えたことをより練度を上げるためにも重要だと思う。

面接とは時には人生の岐路にもなる大きな出来事だ。だとすれば、その対処を普段から出来る限り行っておくのも良いではないか。