Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

分裂するアメリカ

oribeさんが、現在アメリカで起きている州の独立を目指す運動について触れている(Meine Sache 〜マイネ・ザッヘ〜:http://meinesache.seesaa.net/article/301573385.html)。もちろん、こうした誓願があったからと言ってすぐにそれが実現する訳ではないが、そんな運動があることは知っておいても良い。そう言えば、アメリカが巨大な財政赤字を抜け出す最高の方法として、各州が独立して現状の合衆国政府の債務をチャラにするなんて言う眉唾物の話も聞いたことはある。

そもそもアメリカが分裂する可能性についてはロシアの外交アナリストが既に触れている(http://online.wsj.com/article/SB123051100709638419.html)。2008年に公表されたそれは2010年にはアメリカは6つの地域(国)に分裂すると予測していた。もっともその確率は55%としており、方向性には自信を持っているだろうが時期については今ひとつ自信がないような感じではある。リーマンショック直後でありその混乱が分裂に結びつくとしていたのかも知れないが、その予想は外れたようである。少なくとも、上記のような独立請願運動はあるものの、分裂を引き起こすような動乱はまだ生じてはいない。この予測においては、

カリフォルニアは「カリフォルニア共和国」となり、中国の庇護を受けるか、中国の影響下に置かれる
テキサスは「テキサス共和国」となりメキシコの庇護を受けるかメキシコの影響下に置かれる
ワシントンDCとニューヨークは「アトランティック・アメリカ」としてEUとの連携を強める
イリノイ州ミシガン州オハイオ州を含む中西部は「中西部アメリカ共和国」としてカナダの庇護を受けるかその影響下に収まる
ハワイは日本もしくは中国の庇護の下に収まる
アラスカはロシアの一部となる

としているが、これも個人的にはちょっとどうかと感じる。仮に分裂してもアメリカである。他の国の庇護下に入るというのはよほどのことがない限りあり得ないだろう。とは言え、こうした噂がくすぶらざるを得ない状況がアメリカに存在するのも確かである。ここにきて欧州よりは多少上向き気味の経済ではあるが、それでも庶民の暮らしは相変わらず厳しい。以前にも触れたと思うが、フードスタンプの発行状況は、米国農務省の2012年8月31日の発表によれば受給者数が4667万0373人に達したと報じられている。アメリカの人口が3.16億人とすると約15%という計算になる。日本の生活保護と異なり受給条件は緩い(4人家族で月収が2500ドル以下)ものの、それでも生活状況が厳しい状態に変わりはない。ちなみにオバマ大統領は制度の拡充を訴え、共和党側は引き締めを模索しているようだ。
基本的に体制が崩れる一番の原因は庶民が食べられなくなることであり、加えてそれが長期間連続することである。一時的な落ち込みは、様々な社会の調整弁がカバーしてくれるであろうが、それが長期化すれば事態は深刻になっていく。

とは言え、アメリカの分裂よりはEUや中国の分裂の方が実現性が高い気もするが、超大国に内在する葛藤を考えるならば日本はもっと自立しなければならないと感じるばかりである。