Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

人口減少社会は多死社会

2年連続で日本の総人口は減少した。
人口減少は、大方の予測と同じように継続している。
現状のまま人口増加が経れば、少子高齢化社会が継続するとして年金問題などが継続できないと言われている。

確かにその通りである。現状のまま出生率が伸びなければ、日本の人口は減少を続ける。
2050年頃には、1億人をわずかに超える程度かもしくは割り込むと推計されている。
単純に人口が減るのみではない。
最も大きな問題は生産年齢人口の減少がある。その割合は総人口の2/3から1/2近くに減る。
その分、高齢者比率は現状が約20%であるが2050年には35%近くに増加する。人口の1/3という勘定だ。
その結果、要看護高齢者も8人に1人というレベルにまで達すると考えられている。これも、現状の倍近くになるであろう。

しかし、それは単純に老人が増え続けるだけというわけではない。
高齢化率のみで言えば、概ね2050年頃には急速の増加は無くなり、安定した状況に至る。
なんてことはない、老人が増えた結果死亡者数も増えるのだ。
そして、社会の人口構成は安定する。もちろん、現在よりは老人が多い社会。

さて、社会の維持が難しくなると騒がれている理由は何か?
もちろん年金制度の維持などもあるのだが、それは社会の人口比率が今後劇的に変化しようとしているからである。要するに老人の比率がどんどんと増えているから。
逆に言えば、社会における人口構成が一定の安定状態になれば、もう老人は率として増えないのだから対処のしようもあると言うことになる。

問題は、それが安定するまでの時間。おおむね2050年頃までを日本という社会が如何に乗りきるかなのである。
もちろん、現状の出生率のままであればその後も人口減り続け、2100年頃には7000万人になるとも予測されている。ただ、それはあくまで出生率が今後も1.35〜1.40という現状を続ければという仮定の下である。再度増加に至れば、長い目で見てより人口構成は良い形で安定する。
そのため、少子化政策というものはやはり非常に重要だ。

ただ、大きく変わらないものがある。
それは、多死社会という状況。
これは、今後30〜50年にわたって変化がない。
高齢者が増えるのであるから当然のことだ。いや、人類の寿命の画期的な増進があれば減るかもしれない。ただし、人口構成はさらにいびつなものになるが。

では、どの程度の多くの死者が出るのであろうか?
それは、2050年頃には現在の1.5倍から2.0倍の人が死ぬ社会である。
少子化自体も大きな社会問題ではあるが、この多死社会というものに日本の現状の社会システムは対応できるのであろうか?
そう考えると結構心許ない。

どうしても見過ごされがちな、多死社会という側面について議論を提示してみた。

「死が蔓延したとき、それを別れと捉えるか、喪失と捉えるかは社会の質を大きく変えるかもしれない。」