Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

コロナは春以降も終息しない?

 遅きに失した感のある緊急事態宣言と外国人ビジネス客の入国停止措置(ビジネス関係者らの往来停止 原則外国人の入国を全面的に制限 | 新型コロナウイルス | NHKニュース)ではあるが、下手に自分たちの都合や判断に基づく政治的判断で状況を甘く見てはいけない。菅総理には猛省してもらいたい。今後も状況を見る必要があるが、少なくともmRNAワクチンは現時点でかなり高い効果を示しており(新型コロナ用mRNAワクチンの4つのすごい設計(JBpress) - Yahoo!ニュース)、現時点では接種が始まるまでの時間をいかに稼ぐかが重要となっている。ワクチンの問題については、短期的な状況は見えてきたものの中長期的な問題点はわからない(医療従事者は新型コロナウイルスのワクチンを打つのか? ホンネを聞いた(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース)。特に若者に対しどのような影響が出るかには、注意深く見守りたい。

 ところで気になる情報がいくつか見られる。一つは、現在南半球は夏なのだが南アフリカ南アでコロナ変異種確認、流行第2波や若い患者増加の原因か 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News)やブラジルの感染者数があまり減らない、あるいは増加しているという現状がある。またインドネシアの感染者数や死者数も増加を続けている。どうやら、コロナウイルスは変異により夏季でも感染できるようになったと見てよいのではないか。これは気温に強くなったというよりは、感染力が増大したため暑い時期でも感染が低下しないということかもしれない。だとすれば、変位種が主流となる次の冬には恐ろしいことになるし、その前に春から夏においても相当の対策を打たなければ感染の連鎖が収まるとは言い切れなさそうだ。

 

 ちなみに、感染の広がりに伴う弱毒化はあまり期待できない状況にある。感染力が増強するほどに、どんどんと他者に伝播していくため弱毒化する必要性がない(強毒株が淘汰される理由がない)。イギリスや南アフリカの変位種が強毒化しているという情報はないが、南アフリカ株では若者も重症化しやすいという話も聞く(南アの“凶暴ウイルス”国内侵入 ワクチンが効かない恐れ 海外との往来を続ければ…国内でも変異種出現、重症者増加に(夕刊フジ) - Yahoo!ニュース)。加えて、南アフリカの変位種は現在接種が始まったワクチンの効果が十分ではないかもしれないという懸念も示されている。現段階では詳細情報がないため判断が困難ではあるが、ナイジェリアでの変異など新たな情報(ナイジェリアで第3の変異種 デンマークでは市中感染も―新型コロナ:時事ドットコム)がどんどんと追加されている。

 ちなみに、変位種については日本でも独自の形でおそらく広がっているだろう。ドイツが第一波では感染者や死亡者が欧州の中で抑えられていたが、今回はその効果が見えない(むしろ欧州の中でも多い感じ)。これはあくまで私の勝手な妄想だが、BCGの効果か何にかはわからないファクターXにより、第一波が抑制されていた地域においても微妙な変異によりそれを回避する術をウイルスがにつけたのではないかと考えている。海外からの持ち込みもあろうが、これだけの広がりは気のゆるみ、政府の対策の不十分さ、そしてウイルスが日本人に適応しつつあるということがありそうだ。少々の変異なら開発されたワクチンでカバーされるだろうが、今先どうなるかはなかなかに読めない感じである。

 

 現在、ドイツはロックダウンに近い厳格な規制をしているが、それでも感染の広がりが抑制できていない(独、1日のコロナ死者が過去最多 大規模封鎖検討の報道(ロイター) - Yahoo!ニュース)。イギリスも変異種の登場で感染者数が大きく増加している(息切れ、倦怠感......イギリスで1日4000人以上が新たにコロナ後遺症に | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)。今後も、世界中で新たな変異種が生まれていくだろうし、後遺症問題の深刻さが徐々に解明されていくのではないかと思う。直感で恐縮だが、弱毒化を期待するよりワクチンや人間が既に持っている免疫力を回避する方向に変わる方が早そうだ。

 こうした状況を俯瞰すると、現在の後手後手の政府対応では春以降に感染終息を期待するのは難しい。夏場の感染増加が予想以上に簡単に(日本国民の対応の良さであり、政府対応の良さの結果ではない)落ち着かせられたため甘く考えてしまった面があるだろう。小さな危機には対応できる政治家が揃っているようには見えるが、大きな危機には対応できる判断力がなさそうだ。ただ、野党にはそれ以上に期待できる要素が全くないので、自民党内での建設的な議論や競争を経てよい政治家が浮上してくるのを待ちたい。

 

(20210116追記)

 FinalventさんがWall Street Journalを引用して面白い情報を上げていた(finalvent on Twitter: "予想外ではないが、グラフにすると、感慨深い。)。世界各国のコロナによる死者数と超過死亡数に関する情報である。世界各国で、コロナによる死亡者数よりも超過死亡数の方が多い状況だが、韓国のそれが突出して高い。すなわち、数多くの隠れコロナ死者が存在しているということであろう。あるいは医療崩壊により、その他の病気による死者が激増しているとも考えられるが、普通に考えてその可能性は低いだろう。隠蔽なのか、基準を変に曲げているのかはわからないが。ロシア、アメリカあたりも多いのだが、それとは比率において明らかに異なる。逆に、防疫に成功している国々(台湾、ニュージーランド、オーストラリア、その他)は超過死亡者数が明らかにマイナスになっている。コロナ対策がその他の病気による死亡を抑制していると見たほうが良い。その中で、唯一と言ってよいほど特殊なのが日本。コロナによる死者もそれなりにいるのに、超過死亡数が大幅に減少している。すなわち、死者数が減っているというのだから面白い。ただ、日本の調査時点が10月のため今の流行は含まれていないのだが。どのように解釈すべきか、なかなかに難しい。