Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

逆アヘン戦争

 意図して進められているものとは思わないが、アメリカでは大麻「大麻合法」の州がアメリカで続出している事情 | The New York Times | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準)だけではなくその他の麻薬までが合法化される州が出ている(オレゴン州、ハードドラッグ所持を非犯罪化 アメリカで初 - BBCニュース)。その上で、カリフォルニア州では大麻が合法化され、アパート内での喫煙が禁止されるらしい(San Francisco bans smoking, vaping tobacco in apartments but says weed is OK)。基本は民主党議員が推し進めているようではあるが、新たな税収として見込んでいるのが何とも言えない。禁煙による税収の落ち込みを大麻でカバーしようというのであろうか。連邦議会下院でも民主党主導により同様の法律が可決された(米でマリファナ合法化法案を可決 下院で史上初 - ライブドアニュース)が、現時点で共和党過半数を占めている上院では否決されると見られている。それでも、1月に行われるジョージア州の選挙結果次第では状況が一変することも十分に考えられる(大麻合法州15に拡大、連邦レベルでの解禁は上院選の結果次第(猪瀬聖) - 個人 - Yahoo!ニュース)。

 

 大麻は飲酒や煙草よりも常習性が低く体への負担も少ないのは事実だが、その他のドラッグのエントリとして機能することから、アジア地域の各国では厳しく規制されている。欧州では、オランダで非犯罪化(合法化ではないが、逮捕されない:実はオランダで「合法」ではない大麻の利用。その歴史と現状、とある「非違法」大麻製品ブランドのビジネス(AMP[アンプ]) - Yahoo!ニュース)ことが有名だが、その他カナダやウルグアイでは最近合法化が為されている(日本国民は対象外?「大麻合法化」で知っておきたいカナダのマリファナ事情 | LifeVancouver カナダ・バンクーバー現地情報)。嗜好品としての扱いである(アメリカも州レベルでは合法化されているところは少なくない)。

 ここでマリファナがハードドラッグへの誘因となり得るのかについては議論するつもりはないが、個人の自由を理由に広がる状況(米大統領選、ブルーウェーブで大麻解禁へ 日本、水際対策が急務(猪瀬聖) - 個人 - Yahoo!ニュース)が必ずしも国家として良い状況ではないという疑念を抱いたためこれを書いている。タイトルに「逆アヘン戦争」と書いたが、今進められている大麻合法化への流れが中国により主導されているというつもりはない。むしろ、アメリカ自身が自らその方向に向かっていると理解している。だが、中国がそれを傍観するかと言えばこれも違うだろう。その他さまざまな面でアメリカから脅されている中国とすれば、これを機会にアメリカを長期的に疲弊させられるのではないかと考えてもおかしくはない。アヘン戦争を仕掛けたのはイギリスだが、その後の派遣国家となったアメリカがドラッグにより国力を失うとすれば万歳ではないか。

 アメリカはずいぶん昔より、麻薬に他する厳しい対応を続けてきた。南米やメキシコの麻薬組織を徹底的に排除し、アメリカに持ち込まれる麻薬に目を光らせてきた。大麻はそうした麻薬とはレベルが違うのはその通りだが、これにより麻薬に対するハードルが下がることは忸怩たる思いであろう。特に、反対してきた共和党としては我慢ならないのではないか(全米の大麻合法化を阻止する3人の共和党議員 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン))。

 

 先ほども書いたように、この流れは中国政府が画策したものではない。それでも、この動きを陰で応援することは十分あり得る。かつて自国が煮え湯を飲まされ、屈辱の状況に追い込まれた原因なのだから、私が中国人だったならばそのことは間違いなく意識する。その上で、偉大な中国の再興を掲げる中国共産党としても、リベラル系の議員を支援するという形での参画は考えるであろう。

 アメリカ大統領選挙において、中国はいろいろな活動をしていたであろう(当然ロシアも)ことは想定されているが、民主党への応援はこうした側面を考慮して進められているのかもしれない。もちろん、これは私の勝手な妄想である。中国は短期間にアメリカを凌駕する力を得ることに対しては諦めたように見えるが、長期的展望での埋伏の毒をいろいろな場所に仕込もうとしている。それは親中派議員を増加させ海外マスメディアへの資金援助、あるいは様々な反政府運動への支援など、日本でも見られる動きである。わかりやすい証拠を残すものではないが、状況証拠から窺い知れる。同様のことはアメリカもいろいろな国に仕掛けているので「お互いさま」と言うしかないが、自由の国であるだけアメリカの方が分が悪い。

 

 大麻に関する動きが、私が思うほどに大きな流れにならない可能性も十分あると思うが、相手が望むものを提供することが最高の誘導手口であるということをふと思い出した。