Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

検察庁法改正という虚構

 私はTwitterをしないので、そのトレンドの広がりはネット情報などから類推するしかないが、年に一度ほど行われる誰かの扇動が上手くいった例の一つなのだろうなと感じている。その詳細は、既に2月初旬に須田慎一郎氏が伝える(須田慎一郎が解説~東京高検の検事長定年延長決定の裏側 – ニッポン放送 NEWS ONLINE)ように、世論を動かすような変な内容ではない。一部の識者は指摘をしているが、騒ぎが起こることを本能的に喜ぶマスコミにとっては最高のエサ場である。正直馬鹿らしいと思うし、朝日新聞の火付けが今回もうまくいったようだが、その結果朝日新聞が信用されるかといえば、全くそうはならないと断言できるだろう。

 さらに言えば、内容もよく確かめずに「このビッグウェーブに乗るのは今しかない」と一部の政治家たちは発言しているが、後から大恥とまでいはいかなくともグダグダに持ち込まれるのは、モリカケ問題と何も変わらない。もちろん最後は、昨年秋に行われた東京高検検事長の定年延長に関する閣議決定が焦点とされるのだが、そこに至ると検察庁法改正とはいったい何なのかという本質がわからなくなる内容である。

 もちろん、今スグにこの改正をしなければならないのかというポイントはあり、議論の余地が全くないかと言われれば疑問はある。だが、これがコロナで国が揺れているときに行うべき運動かと問われれば疑問がある。そこまでクリティカルな内容だろうか。

 

 もっとも、ネットリテラシーのある人たちは既にこの虚構に気づいており、非常に冷めた目で社会を生暖かく見ていると思う。まあ暗い世の中なので一つくらいこうした祭りがあるのも、賑やかしには丁度良いのかもしれない。芸能人がいくらツイートしようが、個人的にはそんなものはどうでもよい。多くのこういった運動(マイナンバーや特定秘密保護法等)が気づけば記憶から消えているように、忘れ去られるだけの運命でしかない。逆に言えば、芸能人を叩いている人も、よくそんな暇なことをするなと感じている。井戸端会議や世間話が広がった程度のものなのに。そもそも、ツイッターは昔の2ちゃねると大して変わらない場所なのだから、目くじら立てるのも馬鹿らしい。

 一方で、政治家というよりはいくつかの政党(野党)がこの話に乗って存在感を示そうとしているが、こんなグダグダを続けるほどに支持率は下がっていくことになるだろう。政治家は結果により自分の存在価値を示さなければならないが、何年もに渡り答えの出ない言いがかりのような攻撃だけを続けてきた政党ほど、同じことを繰り返すほどに指示が離れていくと思う。人を貶し攻撃するのは得意で、口先でコロナ対策に関する大風呂敷を広げることはあっても、一般論のみで具体的な内容は何もない。それは言い換えればまったく能力を示せていないのと同じなのだから。

 以前、私は自民党へのカウンターパートとして旧民主党に多少の期待をしていたし、そのような内容もここで書いてきた。だが、それは当時生まれていた民主党がかつての社会党のようなくだらない政党から脱するということを期待してのものであった。現在の立憲民主党は、昔の社会党を彷彿させる。口では政権奪取を唱えるが、実態としてそれを担える能力を全く示そうともしない。仮に示そうとしていると主張するなら、そのこと自体が立憲民主党という政党に能力がないことを体現している。

 

 かなり前から、安倍政権の最大の応援団は野党であると揶揄されてきたが、今回もそのパターンを踏襲しているなというのが、私の素直な感想だ。検察法改正というほとんど意味のない問題に拘泥している間に、裏で別のことを着々と進めているってな話があっても全く驚かない。むしろ、「政権を実質的に揺るがさない問題で時間を浪費してくれてありがとう」と感謝をしているのではないか。

 今回のコロナ対策、私は結果論としてはそこそこ上手くいっていると思うが、それは政府の対応が良かったからではなく、日本人の民度が為した結果だと考えている。中国型ではない日本型のコロナ対応。韓国が日本より早く一旦の終息に向かったのは、検査を数多く行ったことが最大の要因ではなく、政府を信用せずに早期に国民が自粛に入った結果であるという意見(「防疫で世界を先導」と胸を張る文在寅、「反面教師に」と冷ややかな安倍晋三 | デイリー新潮)がある。むしろ無駄な検査を数多く行っており、更には人権侵害ともとれるほどの監視社会の構築により成功している状況だ。

 アジア人には一定の抵抗力がある可能性(BCG,あるいは別の抗体かはわからないが)も高く、それが欧米ほどの広がりを起こさなかった理由である可能性は高い。更には、今後の経済対策をどうするのかも国会で議論すべき重要なテーマである。どの業界・どの企業を国が救い、ホテルや飲食業界に業態転換をどの様に促すか、そのための費用や対策を如何にすべきか、などt論点は山ほどある。もはや、救済問題だけではなくポストコロナ(共存も含めて)に日本社会がどのように変わりながら持続していくかを考えなければならない。