Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

コロナショック後のイメージ

 まだ多少の上下動はあるにしても、そろそろコロナショック自体による株価の下落は一息つき始めるだろう(【米国市況】株が反発、ハイテクに買い-原油は過去最大の上昇 - Bloombergと思っていたら、:3/23追記:と思っていたら、まさかのコロナ対策上院否決:Coronavirus stimulus: GOP bill fails in key Senate procedural vote)。世界的な感染者数に歯止めがかからない状況はまだ続き、都市封鎖などが生じるたびに市場は驚くが、それでも少しづつ心理的には織り込む準備は進んできたと思う。このような世界的感染症の広がりは歴史的知識として知っていても、経験としては初めての事態なのでこの後もボラティリティの高い状況は続くだろう。それでも、今後は一方的な下落というよりは、ある値幅の中でのBOX相場とでもいうようなところに移行するのではないかと見る(私の当面の想定レンジは、ダウ平均株価で18,000~22,000あたり)。

 状況次第で、いつまた大きく動くかはわからないが、年始の株価に戻ることは長期間(5年以上のスパン)ないだろう。元の株価に戻るのにどの程度の期間が必要かは、現時点では明確にわからない。ただ、コロナショックに起因する産業の停滞が生み出す不況により、再び株価は下落に向かうと考える方が現実的だろう。欧米の混乱は、日本にいると実感が難しいが戦時下のようなかなり緊迫したもの(欧州の感染者、10万人突破=新型コロナ、東アジア上回る | NEWS & TOPICS | リスク対策.com(リスク対策ドットコム) | 新建新聞社)である。株価の底値予測については、現時点では以前書いた通りで変更なしだが、場合によっては引き下げるかもしれない。

 ちなみに新型コロナウイルスは、以前より大部分が軽症だが10~20%の患者が重症化して死亡率が急激に高まることは中国でも報告されてきた。最近の情報では、医療機関で対処できれば死亡率を低くできるが、無処置では10%近い死亡率になる(=重症化率がほぼ致死率になる)という噂も出始めている。数字の信ぴょう性は現時点で議論できるほどではないが、イタリアやスペインの現状を見ていると、その可能性は高いようにも思える。早急な治療薬の普及が望まれる。私は少し前に、最終的な致死率を世界で1~2%と予測していたが、途上国では10%近い数字が出てもおかしくないかもしれない。それでも、日本の致死率は医療崩壊しない限り最終的に1%を下回ると思う。

 

 さて、コロナショックで株価が急落して以来、一時的なショックで円高になったが、すぐにリバウンドし、その後はずっとドル高が続いている(円相場 ドル買いの動き強まり円安に | NHKニュース)。これは、現金(ドル)を求める心理が大きく働いていることによる(ドル大幅高、新型コロナ懸念でドル需要拡大=NY市場(ロイター) - Yahoo!ニュース)。世界中で換金や決算のためにドルを欲しがっている状況。また、日本の状況が欧米ほどパニックになっていないことが円安を助長していると見る。慌てて円を用意しなくてもよいということ。その円安のおかげか、ここにきてアメリカの株価下落に比べて日本の株価下落の方が若干ではあるが下落程度が大人しい。FRBはこうしたドル高是正も踏まえて、複数国家との為替スワップを結んだ(FRB、通貨スワップ拡大 新たに韓国など9中銀と締結 - ロイター)。

 換金売りについては、追証やポジション整理に応じてまだ多少の期間(半月から一か月)は続くと思う(「兜町放浪記」:大暴落の後遺症【FISCOソーシャルレポーター】 | 市況 - 株探ニュース)が、それと同時にハイエナたちには格安の資金がじゃぶじゃぶと供給された(FRBはゼロ金利政策を再開、日銀も追加緩和策を決定、それでも株は下落、金融緩和は万能薬などではない(久保田博幸) - 個人 - Yahoo!ニュース)。政策が発表された瞬間は反応しないが、時間が経つとその効果が表れる。それが上記でいうBOX相場入りのイメージである。金融緩和はこのショックを押し戻す力はないが、とりあえずの止血をする力はある。ちにみに、上値を追わないのは今後の不景気を予想しているから。

 

 繰り返しになるが、コロナショックの後は実社会の不景気ショック(コラム:08年より企業脆弱、「新ルート」で迫りくるコロナ危機 - ロイター)がインターバルを置いて襲う。それが見えてくるのが、まず最初に多くのファンドの整理とハイイールド(ジャンク)債のデフォルト(日本も回避不可能か。新型コロナショックがもたらす世界大恐慌 - ページ 3 / 4 - まぐまぐニュース!)である。それを防ぐべく、各国政府および中央銀行は動く(FRB、一部地方債も購入-流動性供給の緊急プログラムを拡充 - Bloomberg)と思うが、とてもではないが全てをカバーしきれない。それだけ、ジャンク債市場は肥大してしまっている。続いて並行して進むのが不動産価格の下落(中央銀行と不安心理が激突-日経平均下落、不動産投信19%急落 - Bloomberg)となる。どちらが先とかいう話ではないが、相まみえながら続いていくだろう。

 コロナショックと同時に、ひょとすれば株価下落を大きく後押ししたのが、見かけ上ロシアとサウジの対立(産油国の対立が激化する ~サウジの怒り、ロシアの焦り、アメリカの危機感~(小菅努) - 個人 - Yahoo!ニュース)が生み出した原油価格下落である。だが、この状況が続くとアメリカのシェールオイル企業が耐えられず、そこに出資されているジャンク債がデフォルトしていく。それを見かねて、アメリカ政府は国内生産原油を減らしていた備蓄量に回し(米大統領、原油大量購入を表明 市場混乱で、業界支援の狙いも:時事ドットコム)、さらに量を増大(米財務長官、最大200億ドル相当の原油購入を提案-戦略備蓄を満杯に - Bloomberg)させるとともに、ロシアとサウジの仲介をするとまで言いだした(トランプ氏、ロ・サウジの石油戦争「適切な時期」に介入へ - ロイター)。ただ、ロシアとサウジがターゲットにしているのはアメリカのシェールオイルであるということを考えると、アメリカの介入で改善されるとは考えにくい。

 

 すなわち、原油安は当分の間続く。サウジの狙い通りかどうかはわからないが、世界的な景気悪化により低迷は長引くと考えた方が良い。だが、世界中に溢れる資金(過剰流動性)は過去にないレベルに達する(FRBバランスシート過去最大に、連銀貸出も急増 危機対策に効果 - ロイター)。この資金がどこに向かうかは、正直読み切れないでいる。行き先を失い、いろいろな場所でプチバブルを作り出していくのではないかとも考える。例えば、金相場などがレンジを変える可能性もあると考える(ただ、それが本当にあるかはわからないし、いつかも予測できない)。仮に株式投資をするにしても、売りを踏まえた臨機応変なものでなければ、数年は控えたほうが良いだろう。ステマのように株式購入を進める報道(「一生に1度の大バーゲン」、世界の超富裕層が株式爆買い - Bloomberg)もあるだろうが、これは罠だと思っていた方が良い。トランプ大統領就任を期待して上昇し始めた時のダウ平均は18,000程度(ナスダックは5,000ポイント程度)だったのだから。2~3年程度は本格的には浮上できない(むしろ下げる期間が長い)と思う。このあたりは、ワクチンが生み出される時期とその効果、および生産能力の拡大や価格等により変化するので絶対ではないが、今後の動静を見極めたい。

 ただ雰囲気としては、世界中が日本のバブル崩壊に陥ったような状況になることをイメージしている。日本は既に失われた10年を経験してるので対応策も練れるだろうが、世界はそれに耐えられるだろうか(アメリカの失業申請者数:The Staggering Rise in Jobless Claims This Week - The New York Times)。なかなかにショックは大きいのではないかと予想する。加えて、散発的なコロナウイルス蔓延は、季節や場所を変えながら発生し、コロナ注意報なども出るかもしれない。世界の社会や流通は変わるだろう。ただし、ワクチン等を打っておけば安心といった感じだろうか。

 なお、円安の傾向は世界が慢性的な不況に突入すると共に円高に転じるのではないかと予想している(新型コロナの脅威で「安全資産としての円」が買われる理由 - wezzy|ウェジー)。それがいつから始まるかはわからないが、日本が実は世界の中でコロナウイルス被害が本当に少ないのだということを理解始めた時点がきっかけではないだろうか。元々、輸出が難しくなるのは今回の感染症被害で既定のものとなるのだから、是非とも内需指向型の政策に転換してもらいたいものである。そうなれば、円高は怖くはないのだから。