Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

コロナ禍責任追及ブーム

 韓国でのエピデミック(韓国の感染者123人増え556人 死者4人に=新型肺炎-Chosun online 朝鮮日報)を笑えるほど日本も悠長なことを言えない感染増加のペースが上昇してきた。ただ、こうなるのは半月前には可能性として予測できたことなので、個人的には特に驚くに値しないが、社会を見ると不安は大きく広がっている。感染者の個人的な行動を非難したり排除しても、それが明日の自分になることを知っておくべきであろう。政府の無能を叫ぶ人や、陰謀論に浸る人などは多くの場合において正義を語るが、同時にその裏側には未知のものに対する不安感が存在しているからこその言動と見る。そうは言えど、恐ろしさは容易に抑え込めない。次のパニックは有名人(政治家や芸能人、スポーツ選手など)で生じるのであろう。

 このように恐ろしいものを発見した場合、それに対抗するのではなくその責任を誰かに押しつけるのが、最も容易な心理的安堵感を得るための方法である。だが、実はそれによって何か解決するわけではない。もちろん、日本政府(特に厚生労働相)の認識の甘さについては今後追及されるべきだと思うし、現時点で間違っているともうことについてはどんどんと指摘されてよい。ただ、総体として日本がどうある方が良いのかについては考えなければならない。

 このような大規模なオペレーションには、背景において部外者には想像もできない複雑な要因が組み合わさる(クルーズ船米人乗客 当初は米側が「船内に」とどめるよう要請 | NHKニュース)。単純に中国との関係維持やオリンピックだけではない。もちろん日本政府の行動に中国への忖度要素もあると感じたので、ここでも何度か指摘はしてきた。ただ、今最も行うべきことは責任追及ではなくこの災厄に対応することである。中国のように強権的な方法もあるだろうが、日本は皆が協力して立ち向かう新しいスタイルを打ち立てなければならない。だからこそ、今戦ってい最前線のる人たちの士気を下げないように報道も注意すべきである。

 

 さて、日本(クルーズ船)での感染の広がりを理由に叩いてきた欧米のマスコミも、そろそろ自分たちのお尻に火が付き始めて(新型ウイルス、イタリアでの感染者数が100人超に 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News)批判のトーンを落とすころではないか。イタリア以外にも着実に広がっていくだろう。また、死者が先行する形で発覚したイランでの感染の広がりも馬鹿にはできない(新型肺炎死者5人に イラン:時事ドットコム)。新興国では日本のような防疫体制や情報の共有は難しい。今後、様々な地域で感染が蔓延していくのは確実だ。

 何度も書いているが、他の感染数が少ないと報告している国々も徐々に実態が明らかになっていくだろう。韓国ではイスラエルへの巡礼団が19人コロナウイルスに罹患したと報道が出た(https://www.yna.co.kr/view/AKR20200222046400053?section=local/daegu-gyeongbuk/index)。まだ、イスラエルで感染したのかどうかは不明(感染した韓国人がイスラエルに向かったという情報もある:東京新聞:イスラエル、日韓拒否の方針撤回 外国人の入国で、理由説明せず:社会(TOKYO Web))だが、報道上はイスラエルの患者数は1人だけ。以前、ハワイ旅行から戻って発病した日本人もいる。だが、ハワイでの感染広がりは報道されていない。イランでは、2/23時点で感染者数は43人であるが死者数は8人に達しており、致死率が20%に近い計算になる。これは感染者を補足できていないことを意味する。

 

 こうした恐怖感は、何も日本人だけにあるのではない。世界中の人々が漠然と考えている。逆に言えば、だからこそ当面のスケープゴートが必要になる訳だ。最たるものは感染源となった中国のはずだが、経済的な理由から中国を直接叩きにくい国々は、代わりに別の国を責める。日本を理不尽な理由で責め、次に韓国のミスをあげつらうであろう。だが、日本でも韓国と同様の感染爆発は容易に起こり得る。当初、インフルエンザよりも低いと識者が語った新型コロナウイルスの感染力は、かなり高いのではないかという意見も出てきた。正確な数字はわからないが、現在軽く見積もる人はさすがにいなくなっただろう。

  一方で、中国で発表される新規感染者数は非常に減少してきた(实时更新:新冠肺炎疫情最新动态)。このような発表が為されることも、中国の体制を考えるとかなり前から予想できたことである。都市封鎖が一定の効果を上げているのは事実だろう(3/3追記:街中で体温検査 「新規感染者ゼロの街」新型コロナ封じ込め徹底する中国・南京を歩く - 竹内亮 | Yahoo! JAPAN クリエイターズプログラム)が、それ以上に感染の広がりに対し政治的メンツをかけても早期収束宣言行わなければならない国なのだから。ただ、実態としての感染の広がりは、勢いは落ちたかもしれないが減っていないと予想する。逆に感染者数を減らして発表した結果として、湖北省の致死率が3.7%近くに上昇してきた。感染者が激増していた時期は2.2%程度とされてきたので随分と上がったものである。検査方法や統計の取り方を変えればこうした数字は容易に数は操作できるが、同時にどこかに矛盾も出てくるものだ。中国政府としては、早期に工場等の活動再開を行いたいのである。でなければ、世界的なサプライチェーンから排除されてしまい、同時に国内経済が立ち行かなくなる。それ以上に国家(実質は共産党政府)の面子を重視しているのが実態だろうが。

 だが、私は今回の感染の広がりはそんなに簡単に収まるものではないと感じている。工場再開をすると、再び感染が広がり始めることになるだろう。ウイルス特性により夏季には多少活動が収まったとしても、再度広がる可能性は低くない。もちろん、それを容易には認めたくないだろうが、おそらく隠しきれるものではないだろう。情報をどんなに捻じ曲げても、中国政府の思惑は外れることは目に見えている。ただ、一度決めたことを容易には覆せない中国のことだから、今後の歪められた嘘情報には十分に注意していた方が良い。

 

 その後、結局のところ世界は最終的な原因として中国を責める事態に至るのではないか。特に、CDCなどの外国専門家の受け入れを行わなかった(米大統領、新型肺炎対策に自信 中国は支援提案に回答せず - ロイター)ことが、大きな理由とされるのではないかと考えている。ウイルスのゲノム等については早期に公表されたが、それ以外の情報は散発的にしか出てこない。ここにきて純粋な医療的な思惑が政治的なものにシフトした以上、正確な情報は出にくくなると考えたほうがよさそうだ。

 習近平主席の訪日も、その一環として位置づけられようとしているように感じる。一時延期や中止の情報も出ていたが、それが一気にかき消されてきた。収束宣言へ向けてのパフォーマンスとして利用しようということであろう。武漢肺炎という通称が消されようとしているのも似たような理由からだと思う。その名前を発表したくはあるまい。だが、誰もが中国が感染源であることは理解しているのだからあまり意味はないと思うが。世界からの追求に中国は恫喝で返せるのか。それは中国国内でどれだけこのコロナ禍を抑制できるかにかかっている。

 思惑通りに行かない場合は、最終手段だと思うが天安門とは違う形の武力による鎮圧が起こるかもしれない。どちらにしても、日本政府はもっと強力に現地日本人の帰国を促すべきであろう。