Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

世界自粛連鎖

 個人的には夏の東京オリンピック開催はかなり難しいと感じている。治療薬等の目途が立っても秋に延期(これはアメリカの都合で難しそうだが)や、次年度に回すケースが想定できる。ロンドンへの代替案(小池知事、東京五輪のロンドン代替案報道に不快感(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース)も出ているようだが、イギリスでもそのうちに感染者が広がっていくだろう。現時点では、オリンピックとは規模は違えどイベント開催を自粛するケースとそのまま実施するケース(Perfumeが東京ドーム公演を決行 「細心の注意」と告知するも賛否 - ライブドアニュース)があるようだが、シンガポールでの国際会議による感染や、韓国での宗教イベントによる集団感染の状況を見ると、有効な対策を発見できない段階では自粛方向に動くのはやむを得ないだろうと見る。

 日本、韓国、シンガポールでは感染者数が増加しておりその傾向が高いが、アメリカでもCDCが既に今後の感染拡大を予想(米、学校・企業閉鎖など準備 新型ウイルスまん延に備え=CDC - ロイター)している。高をくくっている国の方が広がりが可視化された時の衝撃は大きい。日本でも一部声高に叫ぶ人はいるが、比較的冷静に状況は推移していると思う。もちろん、病気が広がらないことが最適だが、それが困難な場合には次善の策を講じなければならない。

 

 一つには何度も書いているが治療法等の開発にかかる時間稼ぎを行うこと。完全な封じ込めは無理としても、なんとか時間を稼いでいくことが求められる。最高は中国のように都市の封鎖を行うことであるが、日本やアメリカなどではよほどのことがないと難しいと予想する。その次には、国民の自主的な感染拡大を防ぐための行動を促すことである。今はこの方向にシフトしていると見ている。一部都市で爆発的な感染拡大がみられるようになれば、もっと強硬な措置を考えなければならないだろう。

 二つ目には、この病気との付き合い方を作り上げていくこと。致死率はインフルエンザよりも高い。さらに、繰り返し罹患する危険性がある。まったくもって非常に厄介な病気ではあるが、それを根治できる方法が見つからなければ、それと共に生きていくしかない。癌がまだ完全には撲滅できないように、社会そのものがこの病気との共存方法を探すことになる。これは長期的な可能性としての話ではあるが。

 

 どちらにしても、感染拡大を防ぐ手立てを考えなければならず、そのもっとも簡単なものが各種イベントの開催自粛である。まだ、それを止めろという指示が日本政府から出ているわけではないが、各自の判断で適宜考えろ(感染拡大を防ぐ消毒等の措置や、人々があまり密接に接しない状況の確保など)という状態である。それがどのような成果を上げるかについては今後見えてくるだろうが、そこで再度の感染拡大が生じれば一気に自粛が加速する。

 同じことは、日本のみならず世界中で言える。この感染症は非常に高い感染力を誇っていると見ている。新型インフルエンザが世界中に定着した(根絶できなかった)ように、現在封じ込めていると自称している国々にも広がっていくだろう。それは死者が出てから徐々に確認されていく(イランで新たに2人死亡 レバノンでも初感染―新型肺炎:時事ドットコム)。もちろん、ウイルスが何らかの弱点を保有しており、どこかで歯止めがかかる可能性もあるが、それがあればラッキーという程度に考えておいた方が良いと思う。

 

 世界の株価は順調に上げているが、世界自粛祭りという状況が生み出す経済活動の停滞をほとんど考慮していないか、あるいは軽く見ているように前から考えてた(エントリでもそのように触れてきた)。感染の急激な広がりの拠点となった韓国の大邱では、ショッピングセンターに閑古鳥が鳴いている(韓国人「リアルタイム、感染者が続出した現在の大邸の状況」 : カイカイ反応通信)。中国の経済停滞は非常に大きく、これらが不動産バブル崩壊の引き金を引く可能性も高い(先に韓国に現れるように見るが)。クルーズ船の利用は大幅に減少するだろうし、観光自体が自粛していく可能性が高い。大型の国際会議は世界中が誘致活動をしてきたが、それも勢いが鈍るだろう。その試金石が、最大規模のイベントである東京オリンピックになるとはなかなかの皮肉のようにも感じられる。

 中国における致死率は徐々に上昇を続け、概ね3%に到達した。まだ世界的にはそこまでいっていないが、それでも徐々に死者が現れ始めてきた。今後、時間と共にこの動きは加速するだろう。最終的な致死率がいくらになるかはわからないが、私は無自覚感染者も含めると世界平均を考えると1~2%程度ではないかと予想している。これには何の根拠もない勘なのでご容赦願いたい。そして、おそらく日本における致死率は世界平均と比べて低くなるだろう。また、治療薬や治療法が開発されればそれは大幅に低下する。上手くいけばインフルエンザよりも少しきつい程度には抑え込めるのではないか。

 

 自粛祭りは治療法が発見された時、あるいは世界がこの病気と共存することを決めた時(消極的にとなるだろうが)に終わりを迎える。それがいつになるのか、あるいはどのような形で迎えるのかは私にはわからない。ただ、本当にその状況が見えてきた時にパニックにならないようにはしたいものである。