Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

アンチ政権が韓国擁護になってしまう悲しさ

 朝日新聞や日経グループなどが韓流ブームをなんとか広げようと頑張っているようだ((be report)韓国文学がいまブーム 活躍めざましい女性作家たち:朝日新聞デジタル韓流ブーム、次は「K文学」 ポップな面白さに共感|エンタメ!|NIKKEI STYLE)。こうした報道の裏側に、韓国政府などが準備した広告宣伝費がどの程度含まれているのかはわからないが、すごく小さな市場が広がると拡大率が大きくなることを根拠にしているのではないかと思う。嘘をついているわけではないが、大部分の人が実感できないことではないかと思う。確かに、電車等の出版広告で韓国人の著作広告を見たこともあるが、それが大きな話題となっている実感はない。

 これらは、一種ブームの仕掛け人が流行を生み出そうとしているパターンによく似ている。K-POPの仕掛けなどにおいても、オリコンのランキングやyoutube視聴回数の報道を煽ることでヒットしているという雰囲気づくりを行ったのは多くの人も知っているであろう。

 

 ただ、こうした活動自体を間違っていると思わないし、否定するつもりもない。仮にステルスマーケティングだったとしても、道義的にはともあれ広告宣伝活動として許容されているものであり、日本国内でも行われているありふれたものなのだから。韓国がこうした分野において日本で上げた利益と投入した費用の関係がどのようになっているのか、機会があれば調べてみたいと思う。テレビ業界等の収益モデルが崩れ始めたことに並び、チャンネル多様化時代のコンテンツ不足から価格の安い韓国エンタメが日本で重宝されたのは間違い事実である。

 だが、韓国芸能界などの一番の悲しさは国内マーケットが小さすぎることであろう。アメリカや日本には十分なマーケットが存在し、世界を目指さなくても十分に稼ぐことが可能である。もちろん、水物商売のためマーケットがあるからといって売れる訳ではないが。韓国にも国内マーケットはあるが、その規模は国力と比較してもおそらく小さい。だからこそ、国外に打って出なければならない。そして、成功のためには出来ることを全てやるというのは仕方のない側面があるだろう。もちろん、日本側からすればそれを無秩序に受け入れなければならない理由はないが。

 

 現在、日韓関係は戦後最悪と言われている(止まらぬ日韓対立、興味本位では済まない現実 | 韓国・北朝鮮 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準)。その主たる原因は韓国側にあると私は考えるが、遠回しに言えばそれを助長してきた日本にも遠因は有ろう。朝鮮半島は、確かに中国やロシアとの緩衝地帯としてこれまで有効に機能してきた事実はある。その代償として、韓国は日本やアメリカから利益を得てきた。その期間は既に50年を超えつつある。

 かつて、韓国軍事政権時代には産経新聞など保守メディアが親韓的で、朝日新聞などリベラルメディアが反韓的であったとされる。ところが、最近の報道を見るとその状況は全く逆転している。朝日新聞などは韓国の新聞かと思えるほどに、親韓的な記事を書く。だが、その理由は韓国が良いと思っているからとは限らない。敵の敵は味方とばかりに、日本政府を叩くためには形振りを構ってはいられない状況なのだ。

 

 モリカケから桜を見る会についての報道に見られる様に、良くない慣習は正せば良いと思う部分もあるものの、政策とは全く違う部分で感情のみを煽って政権を叩こうとする行動は、ネットが発達したこの時代において、むしろそれを報道するメディアの信用を落下させ続けている。同じ事は野党にも言えるが、その総動員した政権叩きのツールとして韓国擁護論が存在している。

 逆に言えば、そんな悪玉に手を出さなければならない、それすらも冷静に判断出来ないところおまで追い込まれているのか、というのが私の正直な感想である。かつて隆盛を誇った朝日新聞ですら、不動産事業でようやく息をつける状況になっている(朝日新聞、「本業」の不動産が利益の8割まで上昇 リストラと非正規社員の活用で高収益体質化 2019年3月期 | ダイアログニュース)のは、様々な場所で報じられている。

 情報産業が独占的な状況からドラスティックに変わるであろうことは、随分昔から指摘されてきたことだし、私も何度も触れてきた。その斜陽状況が、起死回生を狙って政権批判をしている。だが、その先には掴めるモノはほとんど無い。むしろ、一度掴んでしまった韓国擁護による政権叩きという前例が、朝日新聞等リベラルメディアのトドメを刺そうとしている様にも感じられる。人は、一度たった立ち位置を容易には変えられない。ましてや言論機関であるメディアが自らの主張を容易に覆せるはずもない。

 

 今、韓国という国は自らの迷走により大きな危機を迎えようとしている。東西冷戦構造はすでに大きく変質した。それ故に、韓国の地政学的価値も変動している。日本が韓国という緩衝材を無くすことについては、日本国内の防衛問題として議論が必要だが、韓国を甘やかしてでも味方に付けるメリットを今真剣に考えているところである。容易に断交すべきなどという主張には与しないが、適度な距離を置くことは現状において悪くないと私は思う。今、韓国はかつてより政権やメディアが宣伝してきた嘘が、様々なところで暴かれ始めている(反日種族主義 - Wikipedia)。かつて親日派の弁明(親日派のための弁明 - Wikipedia)が出版された頃とは風向きが違う。

 だが、こうした動きは直ぐに力を失うのも事実。それほどまでに、韓国内には日本に対抗することを是とする心理が染みついている。よく、韓国には反日本が存在しないという意見が出されることがある。だが、それは政府が代弁し、教育課程にすら取り入れられるほどに根付いているからであると私は考える。日本の様に政府が冷静で抑制的であるほどに、現実とのギャップを埋めようと人々は嫌韓的な資料を探そうとするのである。

 韓国民はともかく、日本のリベラル系メディアですらそのことを理解出来ていないのではないかと感じるのは少々滑稽ですらある。どんな時代にも、政権に批判的な人は一定数存在する。日本では、過去の選挙結果等から見ても左派のコアな潜在支持率はおおよそ10~20%はあるだろう(相当に減ったとも言える)。メディアとしては、そこに固執するのではなく幅広い支持を得たいところであるはずだが、自らの過去の行動に縛られたリベラル系メディアは踏み出せないどころか、官僚の様に自らの失敗を否定するために泥沼にはまり続けている。朝日新聞等の韓国擁護報道は、その典型的な一面を表してるのではないだろうか。