Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

政治の劣化とマスコミ

 最近、少々忙しくて書くことができないでいるが、もし何人かの方でも待たれているとすれば申し訳ない。今回少しだけだが、書いてみたい。

 

 従来より、日本の政治は三流などと揶揄されてきたが、ここにきての野党の体たらくには溜息すら出てこない。政権与党や政府の問題点を追及することの全てが悪いとは言わないが、それはあくまで本筋ではない。それ以上に、人気取りに終始する結果としてマスコミの走狗となり果てている状況には、絶望感にも似た感覚を抱いてしまう。実際、世界の政治をいろいろと観察していると、アメリカや中国の政治も決して一流と言えないような状況であるのは見えてくる。中国などは日本以上に政治が下手糞だと思うが、それでも無理をごり押しできる環境がそれを覆い隠しているに過ぎない。

 だが、強大な軍事力を持っているアメリカや中国と違い、それを持たない(韓国あたりにも軍事費で逆転されるような)日本という国では、加えて経済的な影響力も全盛時の1/3程度に低下した状態では、本当に政治の力が大きく求められる。かつて、政治力のなさを経済力でカバーできた時代はあるが、今はそうではないのだから。

 

 政治力が上手く育たない最大の原因は国民にあるが、その次に問題とされるのはマスコミである。マスコミは当然のごとく情報産業であり、社会・政治問題が発生するほどに儲かる仕組みにある。権力の監視という一面の真理は持っているが、それの何倍もの酷さで社会を混乱させる。だからこそ、政治はマスコミとは一定の距離を置くべきだと私は思う。野党最大の問題は、そんなマスコミの尻馬に乗ってスキャンダル探しを行っていること。さらに言えば、その根拠すらが希薄であること。そして、自分たちがどれだけ愚かなことをしているかという自覚を持っていないことである。

 権力が自己保身のために暴走する。それは真理である。ただ、その典型は日本ではなく中国や韓国に見られるではないか。あの酷さと比べれば、現状の日本の問題など塵にも等しい。だがそうした問題は相対化されることがない。日本の状況を改善していくことは必要だし、安倍政権が完璧で最高だなんて誰も思わない。それでも、もう随分前から「安倍政権に替わる存在がない」と言われて久しい。ベストではないが、選択肢を考えるとベター。そんな状態が続いており、さらに言えば強化され続けている。政党支持率を見れば、問いただすまでもない真実である。

 

 私は以前より解党した民主党には一定の期待をしていた。それはここでも書いてきたつもりである。だが、新しく生まれた立憲民主党にはその期待すらしていない。できるはずもない。だが、どうしてここまで劣化してしまったのか。マスコミの影響もあるだろうが、それ以外の因子については以前より気になってきた。日本人の資質そのものが極端に劣化しているとは思わない。何がこの低脳と言ってよいような野党を存続させているのか。それ以外の勢力を生み出させないのか。

 

 ネットなどでもすでに書かれており、私も以前触れたが、現在「リベラル」を自称する政治勢力が実質的な既得権益勢力になり、政権与党が改革勢力になっていることが大きく影響しているのではないかと考えたりする。既得権益を持つ人たちは現状を変えたくない。とすれば、現状を変えようとする勢力を攻撃するために何が必要なのか。論理では負けることが明らかなため、スキャンダルに飛びつくようになる。

 そして最大の問題は、実質的な体制を変えないようにしている自称「リベラル」勢力は、自らが旧守派であることを自覚していないこと。彼らは大きな変革は提示せず、小手先の小さな変更を声高に叫ぶ。要するに現実が見えていないボンクラな訳なのだが、それが幅を利かせていることを国民が許容していることにあるのではないか。何より、彼らを擁護し育てようとしているマスコミ自体が、毒親のように彼らを堕落させ続けている。

 護送船団方式時代の日本企業が、資本主義社会の中では企業の力を削いでしまったように、野党政治家に対するマスコミの甘さが彼らの能力を高めるどころか、むしろ堕落させている。マスコミが悪いというのは簡単だが、そうした悪循環に陥っていることを自覚できない野党政治家と指摘できない支持者たちが何よりダメである。

 

 政権与党が現実論を走るとき、野党は対立要素として夢を語るのではなく、より深い現実論で勝負しなければならない。それは容易なことではないが、それ無しには現状の政治劣化に見られる負のスパイラルは抜け出られないだろう。仮に政権与党にマスコミの捏造ではない大きなスキャンダルが生まれたとしても、現状のままでは野党が政権につく可能性は皆無である。その無意味さを多くの国民は経験したのだから。その記憶を持つ層が消えるまでは、運よく政権につけることはない。もしあるとすれば、より現実主義に基づいた政策を掲げられるようになるときであろうが、それを望むのは酷だろうなとは思う。