Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

日米がコントロールできなかった中韓

 現状の米中対立は、アメリカが資本主義にすり寄ってきた中国を体制に組み込もうとしたものの、結果的にそれが狙い通りにはいかず引き起こされた。市場としての中国を都合よく使おうとしたが、そうは問屋が卸さなかったようである。そして、日本が韓国をホワイト国から外す必要が生じたのも基本的には同じ流れにある。韓国を共産主義に対する防波堤として使いながら、日本と良い関係を築こう(似た国家であるため、高品質製品を日本が担い、それより落ちる製品を韓国で分担する)と企図したが、結果的にはそれは上手く行かなかった。ある意味では当然ことである。より豊かになりたいと考えることは、国家として至極当然の思考であるのだから。

 言い方は悪いが、アメリカは中国を経済植民地にしようして一時的かつ一面で成功したが、気づけば中国の台頭を許しここにきて一気に態度を変えた。基本的に付加価値の低いものの製造は認め、それ以外はアメリカが抑える戦略であったはずが、日本を警戒し過ぎて中国が力をつけすぎるのを見過ごしてしまった(パンダハガーの影響もあっただろう)。日本も韓国を都合の良い製品組み立て国として位置付けたが、モノづくりの側面では諸般の理由でサムソン等に追いやられ、鵜飼的な経済構造(部品を日本、製品を韓国という形)を作り上げたものの現状に至る。

 

 もちろん各国の産業構造という面もあるが、それ以上に大きなものが将来的な野心である。日本は、バブル時期に「アメリカすらも食らい尽くす」といった熱病にかかっていたが、その後にアメリカから強烈なしっぺ返しを食らい現在に至る。ここに至った理由は、日本の驕りと戦略ミス、そして基軸通貨ドルを持つアメリカの底力である。

 バブル崩壊後の日本はそれまでの驕りの分、アメリカから手痛い制裁を食らった。その結果だけではないが、失われた20年を経験し未だにデフレから立ち直れないでいる。今の米中貿易戦争も基本的には日本が辿った道である。ただ、中国は日本よりも強かで打たれ強い。ルール通りで行けばアメリカの方が有利ではあるが、そもそもアメリカが作り出したルールを変えようとしているのが中国であり、ルールを無視できる分だけ日本などよりはずっと粘ることができる。

 ただ、それでも本気を出したアメリカには敵わない。だが、アメリカは中国を強権的に屈服させ敵対したかった訳ではなく、経済的な植民地として利益を得るシステムを構築したかったのだから、現状の流れはアメリカとしても本意ではあるまい。だが、少なくとも自分たちの覇権を脅かす存在を許容しないという意味において、中国共産党政権を敵視する状況は党派を問わずに成立している。

 

 日本の場合には、今を見る限りアメリカが構築した世界秩序の中で、最大限の利益を得るために努力している状況である。逆に言えば、戦略がそうであるからアメリカを盛り立てないわけにはいかない訳だ。日本単独で強い力を得て、世界中の富を集めるなどという夢物語を描いてはいない。

 だが、韓国は違う。その実力はまだまだ日本には及ばず、しかし後ろを見れば中国の追い上げに火がついている状況。それにも関わらず、北朝鮮と一緒になれば日本をも凌駕できると嘯いている。そんなこと実現するはずもないのに。現実的な日本と夢見がちな韓国。韓国は夢を見るか故に日本を軽んじている。

 どちらにしても、日本が韓国に対して思い描いていた状況は大きく外れてしまった。ここにきての日本政府の態度は、それを考えれば明らかである。さらに言えば、アメリカにしっぽを振って野心を見せないようにすることで、アメリカからの執拗な日本叩きを回避している。アメリカは、潜在的な日本応力を恐れている。それは現状においても変わらない。同じことはEU各国においても言える。

 韓国の明らかに理不尽な主張が、なぜか国際的に受け入れられる状況に疑問を持つ人は少なくないだろう。韓国の露骨なロビー活動や賄賂等の実弾戦略もあるとは思うが、それ以上にヨーロッパも日本の潜在力を脅威と思っている。だからこそ、彼らは韓国の肩を持つのである。日本の重しとして利用するため。世界は仲良しクラブではない。日本の成功は他の国々の敗北でもある。誰が正当に評価などしようか。

 

 逆に、もし欧米が日本を公平に評価するになったとすれば、それは日本の戦略的価値が無視できるに近い状況になったと考えた方がよい。すなわち言論面で優遇される韓国はそういうレベルだから優遇されるのである。もちろん、中国や韓国(ロシアやアラブ諸国なども大して変わらない)が国際機関を自分たちに都合の良いように操作し、有利な言論状況を作ろうしているのも事実である。ゆっくりではあるが、使えなくなった国際組織は新しい何かに変わっていくだろう。

 

 今後もゆっくりとではあるが、新たな国際秩序作りは進んでいく。その中に、日本が立場ある存在として組み入れられるか。現状はそうした土台・基盤づくりの時代ではないだろうか。どちらにしても、戦後(特に朝鮮戦争後)進めてきた東西の秩序は、現在大きく変わろうとしている。新聞などは、近視眼的なあるいは思想的な観点からしか見ていないが、場末の素人でもこの程度のことは公開情報から予測することはできる。

 コントロールできないものは、仕方がないから手放す。その動きが今生じている。