Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

複数の人生を歩む

 終身雇用(終身雇用 - Wikipedia)という言葉も今や昔のものとなりつつある。現代の若者で、一つの企業を一生勤め上げられると信じている人はもはや少ないだろう。私自身も複数回職場を変えてきたし、その度ごとに同ジャンルではあるが職務内容(関わり方)も違うものであった。この移動をステップアップと捉えるかは評価の難しいところではあるが、自分としてこれまでの状況に十分納得している。そうは言えどやはり過去は過去。これまでの仕事に対する満足は感じているとはしても、現在更なる変化にチャレンジすべく準備を進めている。ステップごとの区切りとしての満足は得ていても、人生全体を俯瞰するとまだまだやりたいことが尽きることはない。

 私のケースを取り上げるまでもなく、多くの人が理想として想像する人生のロールモデルロールモデルとは - コトバンク)は、社会構造の変化に応じて明らかに変わらざるを得ない状況にある。それを感じ取っている人は既に多いだろう。ただ、問題があるとすればそのことを明確に教えてくれる場所がないという点ではないか。

 職場や業務を次々と順番に変えていく以外でも、同時並行的にサブの職業を持つという考え方もある。現在進められている働き方改革「働き方改革」の実現に向けて |厚生労働省働き方改革を知ろう!|政府広報オンライン)ではそこまで触れられてはいないが、ダブルワーク(副業・兼業等)についても今後考えられなければならないだろうし、実際それを可能とする企業も散見される。公式に認められているかどうかは別にしても、既にダブルワークしている人は少なくないかもしれない(ダブルワークする?しない?正社員の10人に1人が副業をしていることが調査から判明|PERSOL(パーソル)グループ)。給料が少ないためやむを得ずというケースが多いとは思うが、自己実現や将来の投資として二つの職業を持つという選択肢も当然あるだろう。

 私の場合、次のチャレンジのために並行して複数の仕事に全力を振り向けるというよりも、徐々に(10年ほどかけて)仕事のウエイトを移していく形で進めている。年齢に応じた働き方があるのだから、そのための準備をしているだけのことである。若い時に頑張れる仕事と、齢を取ってからでもやれる仕事は異なる。若い時下働きで、齢を経れば管理と言う立場になるのが過去の事例だが、結果として部下すら持たない管理職が増え、更には管理職にすらなれない窓際(窓際族 - Wikipedia)という言葉もあった。それでも企業が養ってくれる企業内失業者(社内失業 - Wikipedia)が許容される時代はまだよかった。世界的な合理化追求の流れはそれを許容しなくなって久しい。そして、こうした仕組みを内包してきた日本企業は弱体化した。

 自分の年齢、能力(できること)、社会的な要請、その他いろいろな状況を自分なりに分析して、次のステップを準備して実現していく。こうしたことは今後必須となるのではないか。私の場合には、働きだして数年でその後のビジョンを描き、紆余曲折はあったが概ねその通り進めてこれた。幸運もあっただろうが、自分の進む道を信じ切れるかと言うのが大きなポイントではないだろうか。

 

 さて、複数の道を歩まない、すなわち一つの道を一生かけて突き詰めること(求道(キュウドウ)とは - コトバンク)は、尊敬や羨望をもって迎えられることではあるが、これからの社会でそれを理想とするのが適当かと問われると答えに窮してしまう。確かに一部の才能ある人は何らかの分野の道を究めることで大きな成功を手にするだろう。スポーツや芸能で成功する人もそうしたジャンルになる。とは言え、成功者の存在が多くの至らなかった人の上にあることも誰もが知っていることではないか。

 だからこそ安定という道が求められてきた。それにも関わらず、かつて考えられていた安定で地道に行ける道を見付けられるかと問われると、その可能性は低下しているように感じている。典型たる終身雇用に期待がもてない今、大部分の人々は長い人生において複数の道を歩まなければならない。強制的に歩まされる時代が目の前に来ている。

 人生100年時代を想定すると、60歳で定年を迎えてもその後40年もあることになる。長い老後をどのように過ごすか、現代でも既に大きな問題であるが、これからの社会において常に考え続けなければならない課題となっている。十分な貯蓄を持って趣味に生きるもよし、あるいは新たな起業にチャレンジするというのも良し。少なくとも、一つの仕事で終わりではないという意識を持っていたい。

 

 それを困難で大変な事と忌避するか、あるいは複数の楽しみを得られるとプラスにとらえるか。人により受け止め方が異なるのはわからなくはない。だが、避けようもない流れであるとすれば、せめてポジティブに考えたいものである。