Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

追い込まれた韓国

 韓国軍による自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題は、日本側から可能な範囲(軍事技術を流出させないレベル:海自機、周波数証拠は「機密」 =駆逐艦撮影中にレーダー照射-防衛省:時事ドットコム)で今後も明らかにしていくだろう(レーダー照射問題 哨戒機撮影の映像公開へ 防衛省)。この動きは日本単独ではなくアメリカと協調しているであろうし、世界中にも情報が流されていく(Regarding the incident of an ROK naval vessel directing its FC radar at an MSDF patrol aircraft - YouTube)。動画は一部に過ぎないが、韓国側の主張の多くはこれにより覆された。韓国当局はメディアを通じて問題のすり替えを行っているようだが、動画を見る限りにおいて世界の意見は日本に与するであろう。その流れは、慰安婦問題や徴用工問題にも飛び火していく。これは、日本にとって大いなるメリットであり、むしろそれを韓国政府の今回の対処に感謝したいくらいである。そもそも韓国がなぜ早期に謝罪しなかったのかはわからないが、今となっては後に引きずどれだけの証拠を提示されても謝罪することはないと思う。その理由は、彼らにとっては国際的な嘲笑よりも国内世論の動向の方が重要だからである。逆に謝罪することがあるとすればアメリカ等からの圧力だろうが、それも「〇〇の屈辱」といった形で逆恨みしてくることになる。

 以前より、韓国の政治体制は以前から海外よりも国内をずっと重要視していることについてエントリで触れてきた。特に日本世論を重要視する動きは、中国よりも少ないくらいである。究極のポピュリズム政治と呼んでも良いだろうが、それが日本軽視・蔑視(侮日)として報道されることも少なくない。だが、彼らは日本を軽視しているだけではなく、アメリカも中国も、そして世界中をも軽視している。いや、軽視できるような立場に立ちたいと渇望している。その一端が見えているだけである。だが、本来願望を実現化するためにはそこに至る明確なステップが見えていなければならない。それが見えないままに邁進するからこそ、上手く行かないのである。

 現在、韓国は経済的にかなり追い込まれている。サムスンの営業利益の伸びのみが未だに繰り返し報道されているが、それ以外の企業は相当に厳しい状態である。頼みのサムスンも中国メーカーに価格競争で追いやられ、貿易依存度の高い韓国は経済的に厳しい状況に置かれている。若者の失業率(厳しさ増す韓国の雇用 若者の失業率は10.5%でワースト更新 | NewSphere)は、失業率の取り方が厳しいため低く抑えられているが、実質的には20%を超えているという分析(韓国の実際の失業率は25%超え : 在日朝鮮人から見た韓国の新聞)もあり、日本への就職を希望する動きが広がっている(韓国の青年失業率が最悪レベル 働き口を求めて日本にも - ライブドアニュース)ことはすでにあちこちで報道されている。

 要するに、経済的な不安が本当に高まっているのが現在の韓国であり、それが文政権の支持率変化(https://japanese.joins.com/article/758/247758.html)に如実に表れている。特に若者の支持率低下が著しい(https://s.japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=248225)。一般に支持率が低下すれば外敵を定めて、世論を煽る手口が良く用いられるが、今回の件だけでなく日本の権益を奪い取ったという報道は世論形成に一定の価値を持つ。文政権は北朝鮮との融和により権力維持を図るのが主目的となっており、経済政策や北朝鮮問題とは関係しない外交は一部を除き、ほぼノータッチに近い状況にある。実際、徴用工問題であっても文政権は日本側からの期限内には何も答えていない。答えられないのであり、更に言えば答えるつもりもないというのが私の見立てである。自分たちの主張を好なだけ行っておいて、その後は放置という対応。もちろん日本は最も与しやすい仮想敵国である。

 今回のレーダー照射問題も、政権の日本側軽視の姿勢が軍にまで広く蔓延していることの証拠(韓国軍「日本には何をしてもいい」の理屈(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース)と考えて良い。一面において反日教育の結果でもあろうが、日本憎しというよりは韓国に蔓延する日本には何をしても良いという空気感の方が問題である。日本人の私が言うのも何であるが、日本は韓国にとってそれほど軽視できるような存在ではない。むしろ、本気で日本を凌駕したいのであれば軽視などできるはずもない。知日派が現在よりも政権中枢に多かった時は、こうした傾向を抑え込み調整する役割がまだ機能していた。だが、彼らはもはやそうした調整能力を失っている。韓国側の軽率な行動から日本国民の対韓認識は大きく毀損し、彼らによって都合の良いツートラック戦略などは無視されるようになった。アメリカとの関係性も同様に毀損し続けており、回復は相当に難しい。

 要するに、国家としての韓国は日本やアメリカから見放されつつある。文政権の狙いは、日本やアメリカ側から縁を切られるように振る舞い、結果として核を維持したままの北朝鮮との融合を進めることにあるのかもしれないが、それは決して認められるような戦略ではあるまい。今回の日本側のビデオ公開は、これまでと異なり今後日本政府は韓国に甘い顔をしないと宣言したも同然である。少なくとも、日本側にメリットの無い譲歩は行われない。さらに、アメリカが日本に強要することも減っていくだろう。そして、今後の証拠を日本が継続的に提出しなかったとしても、韓国側の嘘がこれほど明確に示された以上、今後の日韓間における問題で韓国の主張を信じる国は減少する。

 5年を全うして、あるいは途中で何らかの方法で弾劾されて文政権が変わったとしても、もはや日本側の姿勢は容易には変わらない。そもそも反日的な政策や行動は右派政権でも同様に存在してきたし、それ以上に日本とのパイプを韓国が自ら切り捨ててきたことが最大の理由である。韓国は容易に嘘を吐き、また約束を守らない国家(個人ではそうでない人もいるが)であることは多くの日本国民が理解した。

 韓国の政治家やメディアは、漢江の奇跡により芽生えたプライドがあり、サムスンの成功により増長することになった。侮日もその範疇にある。それが過分なプライドであることを理解できない限りにおいて、彼らが理想と現実のギャップを埋められるようにはならないであろう。以前書いたものではあるが、今のままでは大きな失速からの回復は容易ではない(韓国は失われた20年では終われない - Alternative Issue)。