Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

富士山噴火

ここに来て富士山の噴火に関する報道がいくつか見られた。
・震災で富士山マグマに圧力 研究チーム「警戒を」(日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG06014_W2A900C1CR0000/
・富士山噴火Xデー 地震雲など近隣住民を不安に陥れる予兆多数(ZAKZAKhttp://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120905/dms1209051601019-n1.htm

そもそも、昨年の震災直後(3/15)にM6.4の直下型地震が富士山直下で発生しており、震災を引き金に噴火が連動するのではないかという懸念が一時的には広がったが、その後の兆候が見られなかったことから地震は単発的なものと見られていた。
ただ、その後の研究結果から上記報道のように相当のエネルギーが地下もマグマ溜まりにかかっており、その圧力は通常地上に吹き出す側に生じるものであるため危険性が叫ばれるようになったのであろう。
富士山の噴火については、以前より琉球大学木村政昭名誉教授(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%9D%91%E6%94%BF%E6%98%AD)は東海沖や南海沖地震よりも富士山の噴火の方が注意すべきと主張してきていた(http://www.news-postseven.com/archives/20120520_109020.html)が、実際には震災の結果や悲惨さに目が行きそちらの方は話題こそ出ていても根本的な対策が取られているとは言いがたい。現実にいつ発生するかを予測することは地震予測と同様に非常に難しいだろうが、可能性が高まっているのは事実ではないかと思う。
地震以外にもいくつかの兆候が報告されているようだが、もちろん現時点ですぐに起こると言うほど極端に切羽詰まったものではない。そもそも富士山の噴火は西暦で、999年、1033年、1083年、1435年、1511年、1707年と発生していることが知られているが(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E5%B1%B1%E3%81%AE%E5%99%B4%E7%81%AB%E5%8F%B2)それ以降には明確な噴火は見られない。火山活動に明確な規則性があるわけではないが、それでも周期的に噴火を繰り返していた火山としては、いつ噴火してもおかしくない状態であると言うことは言えるだろう。

実際には、怯えようが諦めようが来る時には来るし来ない時には来ないわけではあるが、来ることがわかっているのであればどのようなことが生じるかについては考えておく必要がある。
噴火と共に大きな地震が発生するのは当然だが、噴火の影響は近くでは火砕流や土石流により大きくなり、遠方では噴煙や降灰により甚大となる。特に、降灰の影響は電子機器の発達した現代社会においては決して軽んじられるものでは無い。この前もアイスランドの火山噴火で飛行機が長い間運行停止になったことがあるが、降灰の量によれば電車や道路なども運行停止や使用停止になる可能性は高い。加えて農作物への影響は相当大きなものとなるし、喘息などの健康被害も増えるであろう。
もう一つは、電子機器や配線などへの問題だ。あちこちに広がる灰が機器の内部に進入してショートさせたり、あるいは機器の稼働を制限する。フィルターなどの目詰まりも多く発生して、社会の活動に一定期間制限を与える事になる。
これについては1980年のセントヘレンズ火山噴火の影響に関する報告(http://www.risk.tsukuba.ac.jp/~tsutomu/public_html/kazan.pdf)が詳しい。ただ、当時と比べても社会の電子化の程度が比較にならないほど進んでいるため、その面についての被害はおそらく大きくなるだろう。
どちらにしても、降灰が継続しなければ初期のそれが除かれれば一応社会は安定して機能し始める。交通の寸断の程度により大きく変わるであろうが、社会インフラの復旧にはおおよそ数日〜1週間程度が目処となりそうなので、備蓄すべき水や食糧の目処となるかも知れない。

日本という火山活動の活発な土地柄を考えれば防ぐことはできないが、生じた後に対処することはできる。今後も、火山活動情報などには少し注意を払っておいた方が良いだろう。
ちなみに地震活動の分布(http://eoc.eri.u-tokyo.ac.jp/harvest/eqmap/tkyMAP1.html)を継続的に見ていると、一時と比べて東海〜北陸にかけての中部日本でのそれが少し増えつつあるようにも見える。ただ、明かな異常というレベルではないので今後の状況にも注視していきたい。