Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

時代遅れのマスコミ意識

原発言を受けて、朝日や毎日新聞などリベラル系(というよりはむしろ左派系)の新聞はこぞって、中国を刺激するとの内容を書き記した。どうも彼らにとっては中国を刺激することはタブーらしい。おそらく韓国や北朝鮮に対しても同じような態度を取るであろう。
教科書記述問題や従軍慰安婦問題、百人切問題など、おそらく事実ではない問題をふれ回って刺激させ続けてきた当事者が良く言うものだと思う。

では、なぜ中国を刺激することは日本にとってまずいのかという疑問に行き着く。戦争が近づくから?そんな曖昧で漠然とした印象操作を言われても納得できるはずもない。現実、中国は軍事力を増強し続けているではないか。別に日本が何をしようとも中国は準備を進めているのは自明のことである。もちろん、中国が軍事行動に移る可能性が高いと言っているつもりはない。正直言えば、尖閣で得るメリットと日本と戦争をするデメリットを考えた場合に、中国にとっても戦争はデメリットの方が大きい。
ただ、恫喝の道具としては軍事力は非常に効果的である。限定的な戦闘を是とするならば、その効果は益々高まるであろう。実際、南沙諸島における中国の振る舞いはまさにその通りではないか。アメリカやベトナムの本気度を見計らいながら、徐々に既成事実を重ねようとしている。
尖閣諸島についても、中国が取ってくる姿勢に変わりがあろうはずもない。

まさか、話し合いが成立するとでも思っているのだろうか。日本が経済超大国で、中国が貧困にあえいでいた時代なら、まだ経済力を武器として見かけ上の話し合い外交は成立しただろう。現実にはそれすら日本が十分な利を取ったとの記憶は私にはないが、可能性の問題で言えば成立しないでもない。
今や、中国は経済成長をバックボーンにして強い意識を持ちつつある。強くなった自分たちに応じた振る舞いをしようとしているではないか。もちろんその大国としての振る舞いは日本が考えるようなものではない。自分たちの都合を押しつけるためのものである。その方法については百年以上にわたり欧米を見て勉強している。

朝日新聞毎日新聞の主張は、日本が経済的に中国に対して大きなアドバンテージを誇っていた時代のものでしかない。もちろん、だからといって強い側が弱い側を援助すれば尊敬を得られたのかと言えば、現状の反日具合を見ればよくわかる。そんな援助など役立つはずもない。
それよりは、個人的な交流の方がずっと役だっただろうし、アニメや漫画の方が親日派をずっと増やしてきたであろう。
そもそも中国を刺激しないという考えになるのは、大国としての度量を見せようとする場合か、若しくは敵わないと諦めてしまう場合である。前者は既に賞味期限切れだし、後者を望む人などいようか。だとすれば概ね対等な者同士のギリギリの折衝が必要な関係なのだ。
折衝は、良いことも悪いこともあろうが下手な譲歩や相手の好意に期待することなどは相手方を辱める行為でもある。お互いの利害をギリギリまで平和裏にぶつけ合うものであろう。日本はそれを行わなかったが故に世界的な尊敬を勇気の面で十分に受けられなかったではないか。

考えても見れば、日本がおとなしくしていれば中国もおとなしくしているという理由は何処にあるのだろうか。ガス田の開発でも日本の言うことをどれだけ聞いてきたというのだ。
もちろん、日本側から戦闘を仕掛けるなどと言うことをする必要など無い。日本がすべきことは、正当な領土である尖閣諸島を正当な権利を持って守ると言うことでしかない。それをしようとする時に、中国側の行為などを期待する余地はない。純粋に日本国内の問題だ。

今回のマスコミの言説は、中国を刺激するなという言葉を借りながら、日本の軍備増強があるのではないかという脊髄的反射であるように私には見える。彼らは、実質的に中国の心配をしているわけではない。中国というセンシティブなものを持ち出すことで、自分たちの考えに合致した政策へと誘導しようとしているに過ぎない。
ネットなどでは、こうしたマスコミが中国にすり寄っているように言う言論もあるようだが、私の感想は中国を見下しているからこその行動だと思っている。そういう意味で多くの国民の方が現状日本がおかれている立場をマスコミよりもよく感じ取っていると思うのだ。
中国が大国化したことを心底では理解せずに、自らの考えを押し通すために利用しようとしている姿勢こそが、中国に対する礼を失していると思うのだがどうだろうか。

「マスコミとは過去に囚われ、現在への責任を負わず、浅い未来しか語れない。」